ヨコスカ平和船団に一ヵ月ぶりに同乗したのは4月25日。この日のテーマの一つは、横須賀常駐艦への機銃の搭載を確かめることだった。
イージス巡洋艦のカウペンスの銃座については、1月に設置が確認されている。艦首に近いところに、2つの機銃がすえつけられているのを近づいて撮影したのが、上の写真だ。横須賀のイージス巡洋艦のうちの2隻に銃座が追加されたのは、イージス艦の守備範囲の中で、「役に立つ」兵器がトマホークなどのミサイルから近接戦闘用の機銃に代わったことを示している。空母を中心とした艦隊による太洋での戦闘遂行が、戦略として時代遅れになってきたことの証だ。
2隻のフリゲイトについても、同じだ。「フリゲイトからミサイル発射機撤去、「対テロ戦には役立たず」」(04.3.7更新)で見たように、横須賀常駐のフリゲイト2隻からミサイルランチャーが撤去され、換わって機銃が装備された。探そうと思うと何でも機銃に見えてしまうものだが、以前の写真と比べて、確かに機銃らしきものがフリゲイトに新設されていた。
これを、細かな装備の変更だ、とは見ないほうがいいだろう。空母にズラズラと随伴艦がついていく時代は終わった。フリゲイトは空母の対潜、対空の最前線の仕事から、何か別の仕事につくことを模索している。その一つが、いわゆる「対テロ戦」で、そのためには、ミサイルは不要で、近接戦闘用の機銃が必要だったというわけだ。
米海軍は今、艦隊決戦から「対テロ戦」に変化している米軍のニーズにいかに対応するか、ということに腐心しているのだろう。最新鋭のイージスシステムを搭載している駆逐艦を、ミサイル防衛のために日本海に張りつける構想も、その一つのあらわれだろう。
たかが機銃の装備変更だ、と言うなかれ。今、我々が観ている米艦船の変化は、米軍戦略の変化に伴う米海軍の生き残り戦略の結果だと考えられる。
(RIMPEACE編集部)
フリゲイト艦ゲアリーに新設されたと見られる機銃。
(訂正)ビンセンスへの機銃の装着は現時点で未確認でした。4月27日にアップした文章を、上記のように改めます。(2004.5.6)