イージス駆逐艦ラッセン、SM-3発射能力獲得か


工事開始直前のラッセンの後部VLSとその周辺(2006年2月10日 撮影)


後部VLSの上に工事用のテントが組まれた。2月10日と同じアングルから(2月18日 撮影)


後部VLSの上に組まれたテントと、フェーズドアレイ・レーダーにかぶされた覆い(2月18日 撮影)

米海軍のミサイル防衛(MD)計画が進行している。MD最前線の横須賀基地でも、MD対応艦船の修理の動きがあった。

昨年9月に配備されたラッセンは、現在横須賀にいるイージス駆逐艦の中の最新艦だ。今年9月にフリゲイト艦バンデグリフトに代わって配備される予定の駆逐艦マスティンとともに、イージス駆逐艦アーレイバーク級のフライトUAに属している。

ラッセンの工事は2月中旬に始まった。フェーズドアレイ・レーダーに覆いをかけると同時に、前後二ヶ所にあるVLSのうちの後部VLSがテントで覆われた。
これはラッセンがMD対応艦になるための工事と見ていいだろう。

ペンタゴンのミサイル防衛局長は、上院軍事委員会で予算にかかわる証言を行う。2004.3.11軍事委員会証言では、「米海軍は2006年末までに15隻のイージス駆逐艦と3隻の巡洋艦を弾道ミサイル防衛(BMD)仕様にする」と語っている。駆逐艦についてはレーダーを改修して長距離探索を可能にして,ICBMの脅威に対応する、としている。
この時点ではまだ、イージス駆逐艦の役割はレーダー探索に特化されていた。

ミサイル防衛局長が1年後の2005年4月7日、上院軍事委員会戦略軍小委員会で行った証言は、駆逐艦の役割を一歩進めるものだった。
弾道ミサイル迎撃を可能にするSM-3ミサイルを2007年末までに28基調達し、3隻の巡洋艦と8隻の駆逐艦に配備する。そのほか6隻の駆逐艦が弾道ミサイル探索の能力を付加される。

ミサイル防衛についてのイージス駆逐艦の仕事は、探索専門からミサイルを発射する「撃ち方」にまで広がった。
2月から3月にかけて横須賀で行われたイージス駆逐艦ラッセンの改修工事は、このミサイル防衛についてのイージス駆逐艦の役割の拡張に対応するものではなかったのだろうか。

ラッセンの一連の改修工事は、3月末までに終了した。今ラッセンは、改修後の航海に備えている。

(RIMPEACE編集部)


後部VLSの上に組まれていたテントが撤去された。ミサイル発射管の上にはブルーシートがかかっている(3月24日 撮影)


ラッセン(82番)のフェーズドアレイ・レーダーにかぶされた覆いもとられた。(平和船団行動日の3月26日 撮影)


'2006-4-13|HOME|