空母が横須賀基地に出入りするとき、チャネルガードといって、空母の通る水路の両脇の陸地や空母の周りを武装ヘリが飛びまわって警護する(写真上)。これも原子力空母に代わったら出来なくなる。
原子力空母の在港時は、横須賀基地内の米軍ヘリポートの離発着も出来ないし、横須賀基地に入港している艦船のヘリも、離着艦できない。駆逐艦ラッセンが港内からヘリを飛ばしたときに、誘導電波が羽田の着陸誘導波を妨害したことは記憶に新しいが、今度はヘリを飛ばすこと自体が安全措置遵守違反となる。
原子力空母を横須賀に配備すると発表した駐日合衆国大使のシーファーさん、合衆国を代表して、在日米軍に原子力空母に航空機でもって近づいてはいけないという「飛行制限を徹底」するのでしょうね?
ヘリが運用できない空母なんて、ナンセンスな存在だ。そんな制限をせざるを得ないのは、空母と原子力推進の組み合わせが、日本の原子力安全措置に合わないからだ。
それじゃあ、日本の安全措置を見なおせばいい、なんて声がどこかからかかるかもしれない。いや、空母だけ適用除外にしてしまえばいい、と別の声がささやくかもしれない。
そんなことをすればどうなるか。安全措置を見なおせば、これまで原発が安全だといってきた根拠が崩れる。空母だけ適用除外したら、横須賀市や神奈川県がそんな原子力空母を受け入れられるはずがない。
通常動力空母で行ってきた航空機の運用も継続することを含めて、日本政府は原子力空母の受け入れを決めたようだが、それはこれまでの原子力安全政策が崩れていくことと同義だ。
飛行制限という安全措置を堅持したまま原子力空母を受け入れたいならば、「原子力空母の2海里以内の飛行禁止」を米軍に守らせるしかない。そんなことを米軍に約束させることができますか?
それが出来ないなら、原子力空母の横須賀母港化はやめるしかない。
(RIMPEACE編集部)