米フリゲイト艦の防災訓練参加について


9月1日午後2時前、8都県市防災訓練に参加したゲアリーが横須賀基地に戻ってきた。

9月1日午後、雨の横須賀基地にフリゲイト艦ゲアリーが戻ってきた。8都県市防災訓練に加わり、晴海埠頭から帰宅困難者30人を横須賀基地まで運んできた、ということだ。

ちょっと、防災訓練の設定がおかしいんじゃないか、と感じた。マグニチュード7クラスの直下型地震が東京湾北部を震源に起きた、とするならば、先ず考えることは京浜、京葉地域の石油化学コンビナートの存在だろう。
このコンビナートが被災した場合、船で都心の人たちを救出するという前提を疑ったほうがいいのではないか。

米軍の任務の一つに大きな災害に対する救援がある。 2004年末のインド洋大津波の被害の救援に、米軍は揚陸艦、病院船などを動員している。95年1月の阪神淡路大地震の時、相模補給廠から毛布や水の入った容器が大量に現地に運ばれた。横田基地と伊丹空港の間をC130輸送機がピストン輸送していた。
被災地から離れた場所にいた部隊が支援していることに注目したい。

今回の防災訓練の設定のように、大きな首都圏直下型地震が起きた時、首都圏の米軍はどんな動きをするだろうか。
第1がアメリカ大使館にかけつけ、大使以下の避難と大使館の警備強化。次に基地周辺警備の強化。そして米国籍で日本に居るVIPの保護。これだけで首都圏の在日米軍の初動態勢は手一杯になるだろう。
京急や横須賀船の振り替え輸送というのが、いかに非現実的な役回りかは、ゲアリーの乗組員が一番感じていたのではないだろうか。

防災訓練に自衛隊が参加しだしたころに、自衛隊の人間に、災害時の救出の優先順位を尋ねたことがあった。その自衛官は即座に「指揮をとる人間から助ける」と言った。
軍隊の本質をついた答えであり、消防や海保と一番違う点だ。

米軍にしろ自衛隊にしろ、自治体の考える防災計画に組み込んでも、少なくとも災害の初期対応で同床異夢となる可能性が大きい。自治体がそんな計画を作り防災訓練を行って、軍隊に対する期待感だけが先行することは、住民にとってマイナスでしかないだろう。

(RIMPEACE編集部)


'2006-9-1|HOME|