横須賀・昔の燃タン輸送用線路
返還されずに錆付くのみ


ごく最近新設された「米政府使用施設」を強調する看板。草ぼうぼうの土地が「軌道敷」


上の看板から後ろを振り返ると...。これでは路面電車も通れない廃軌道だ。

JR田浦駅近くの道路わきに軌道の跡が残っている。この軌道敷に「米政府使用施設」「軌道敷内立ち入り禁止」の警告 看板が立てられたのは、お盆休みに入る直前だった。
近くで仕事をしている人に聞くと、まだたくさんあるよ、と教えてくれ た。さびた線路と並行する道路をたどると、なんと8カ所に同じ看板が立っていた。

この線路は、横須賀基地の吾妻島燃料貯蔵庫から厚木基地などに航空燃料を運ぶためのものだった。燃料タンク車がJR田浦駅まで専用線 を走り、その後JR相模線厚木駅から相鉄線の軌道に入り、相模大塚駅から専用線を通って厚木基地まで輸送された。
しかし98年9月までで鉄道輸送は終わり、タンクローリー車による道路輸送に切り替えられて今日にいたっている。切り替え後まったく 使われていないことは、軌道敷の荒れようが物語っている。

「合衆国軍隊が使用する施設および区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない」 (日米地位協定第2条3項より)
9年間荒れたままにしておいた軌道敷は、地位協定の取り決めに従って真っ先に返還されなければならない施設だ。アメリカ政府が やるべきことは、こんな立派な看板をゾロゾロ立てることではないだろう。
急に看板を立てて「米政府使用施設」を強調することで、やるべきことをしていないのが誰の目にも明らかになったことに、米国大使館や 防衛施設庁は気付いているのだろうか。

(RIMPEACE編集部)(写真は 07.8.15 撮影)


長浦ポンプ場の前。トンネルに向かって伸びる線路は途中から舗装されているが、この道路も立ち入り禁止?


神奈川県発行「神奈川の米軍基地」より。黄色いところは提供施設。赤点の部分が「軌道敷」


'2007-8-16|HOME|