海自むらさめ、米軍支援のためインド洋へ
101番「むらさめ」は10時30分に動き出した。「きりしま」艦上では見送りの整列
出港前から、横断幕とプラカードで反対を訴える
出港する「むらさめ」に、「戦場に行くな」の横断幕を掲げて訴える
1月24日午前10時半、海自護衛艦「むらさめ」がインド洋に派遣されるために、横須賀基地を出港した。
強風の予報が出たために、陸上での抗議行動に切り替えたヨコスカ平和船団は、ベルニー公園で抗議行動を行った。
反対行動に対する妨害のみに凝り固まったやからの数人懸かりの妨害にもひるまずに、公園の一角に抗議拠点を確保した船長さんを
中心に、出港した「むらさめ」が米軍駆逐艦の向こうに見えなくなるまで、横断幕を掲げて「戦場に行くな」と訴えた。
その後、非核市民宣言運動ヨコスカ、ヨコスカ平和船団、すべての基地に「No!」を・ファイト神奈川の3者連名の抗議文を海自横須賀
地方総監部に持っていき、手渡した。抗議文は以下のとおり。
(RIMPEACE編集部)(写真はすべて 2008.1.24 撮影)
自衛艦隊司令官 香田 洋二 殿 横須賀地方総監 半田謙次郎 殿 防 衛 大 臣 石破 茂 殿 2008年1月24日 非核市民宣言運動ヨコスカ ヨコスカ平和船団 すべての基地に「No!」を・ファイト神奈川 連絡先 横須賀市本町3-14山本ビル2F 駆逐艦「むらさめ」と大型補給艦「おうみ」のインド洋派兵に抗議する 防衛省・海上自衛隊は、衆議院で再議決をして強引に成立させた、新たな特措法を根拠に、「むらさめ」をインド洋へ 出動させようとしている。「むらさめ」は2004年2月16日に続いて二度目の出動である。私たちは、海上自衛隊がアメリカ の戦争に、「給油」という兵站・補給活動の一翼をになって参加することに強く抗議する。 イラク戦争開戦以来、4年が経過したが、すでに15万人ものイラク人が戦火の中で亡くなり、そのほとんどは軍人ではなく 市民だと報道されている。多国籍軍の死者も米軍の3931人、英軍の174人などすでに4238人を数える。戦争は泥沼化し、 イラクでもアフガニスタンでも市民の生活は悪化の一途をたどっている。戦争の終結と米軍の撤退こそ、平和と復興への もっとも確実な方法である、と私たちは確信する。 すでに、多くの国々がインド洋の「海上阻止行動」から撤退した。現在、艦船を派遣しているのは6ケ国、さらに補給艦を 出しているのはアメリカとイギリスだけであることは、防衛省自らが、国会答弁やホームページなどで明らかにしている ところである。インド洋での給油活動はどんなに粉飾を凝らしても「国際社会の意思」などではなく、ほんの一部の国々の 軍事作戦への加担であることは、明白である。 「むらさめ」が護衛するのは、佐世保基地所属の大型補給艦「おうみ」(基準排水量13,500トン、満載排水量30000トン) である。10,000トンもの軽油を搭載できる船である。また、航空燃料(JP-5)も相当量搭載可能である。新特措法は 「艦船及び回転翼航空機用燃料」を供給するとあるが、ヘリコプターも戦闘爆撃機も燃料はともにJP-5(航空燃料)である。 どう使うかは給油を受けた米軍の判断次第であり、それを確認する方法は、どこにもない。こうした曖昧な、いや不明朗な 形で戦争協力を拡大していくことは、断じて許されない。 海上自衛隊の海外出動は、インド洋のみならず、環太平洋合同軍事演習から潜水艦救難訓練、昨年夏のベンガル湾での 「マラバール2007」へと急速に拡大し、アジア太平洋で次第にその海上兵力を誇示しつつあることに、私たちは深い危機感 をもたざるをえない。 このことは、外に向っては中国、韓国などとの建艦競争を誘発し、内に向っては隊員の勤務体制の強化となってあらわれて いる。「当直が増えて子供と触れ合う時間がとれない」という自衛官の声は、私たちの元へも届いている。さらに、自衛隊 の自殺者が急増していることは、防衛省がよく知るところである。しかし、昨年夏、横須賀の補給艦「ときわ」とともに インド洋に出動した、佐世保の駆逐艦「きりさめ」の艦内で自殺者が出たことを認めながら、防衛省は何一つ事実経過を 明らかにしようとしていない。その口実に「ご遺族への配慮等」(質問主意書に対する政府答弁書2007年12月28日)が使われる のは、まさに言語道断である。自衛官の命と人権は軽んじられ、防衛省は無責任な対応を繰り返す。その冷酷さ、酷薄さには、 旧軍を上回るものさえ感じるのである。 私たちは、「むらさめ」のインド洋派兵に強く抗議する。インド洋への派兵を中止することを求める。 テロを軍事力でなくすことはできない。戦争の終結と復興にこそ、私たちは力をそそぐべきである。
'2008-1-24|HOME|