ブルーインパルス、原潜の上を低空飛行



横須賀基地の上を飛ぶ曲技飛行部隊ブルーインパルスのT4(09.6.1 安針塚駅付近で撮影)

6月1日午後3時前、京急安針塚駅で降りた直後にジェット音が響いた。肉眼でもT4とわかるダイヤモンド編隊と、スモークを曳いた ソロが低空で飛んでいった。空自の曲技飛行隊ブルーインパルスだ。180度ターンして横浜方面に向かったから、Y150の出し物で ブルーが呼ばれたのだろう。

イベントの人寄せで、海自の艦船を新港埠頭に呼んだり、ブルーインパルスを飛行させたりすることもきわめて問題ありだ。次は車載の 機銃を子供に触らせたり、米軍の船を呼んできたり、と珍しさをテコに軍事のPRがエスカレートしかねない。
しかし、ここでは別の観点からこのブルーの飛行を問題にしたい。

この日、横須賀に原子力空母はいなかった。しかし原潜ロサンゼルスが横須賀基地12号バースに停泊中だった。民間の発電用加圧水型 原子炉は、米海軍の艦船用原子炉と基本は同じだ。
ブルーインパルスが松島基地近くの山に激突した事故のとき、飛行経路が女川原発のすぐ近くををかすめたことが問題になった。事故後、 ブルーインパルスが松島基地から訓練空域を往復する際の管制方式が変えられた。
原発の上空に自衛隊の訓練空域が存在することがある。その場合、原発上空は円形に演習空域が切り取られている。
原子炉破壊の事故が、一般の航空機の墜落事故よりも被害が極端にひろがるために、原子力災害防止の目的で原子炉上空の飛行は制限 されている。

それなのに、6月1日、ブルーインパルスの6機のT4は、編隊を組んで低空で原潜の上を、つまり原子炉の上を3回飛行した。横須賀に 原子力空母や原潜が寄港するということは、首都圏の何千万の人たちが、原子力災害の危険にさらされるということだ。
その危険性をさらにあげたのがブルーインパルスの低空飛行だった。

(RIMPEACE編集部)


2009-6-1 |HOME|