ニミッツ出航時のモニターシップ「きぬがさ」




空母にぶっちぎられる「きぬがさ」(赤丸)

「コーナーを回って直線に。ニミッツニューク先頭、モニターキヌガサは2馬身差で追っている。
モニターキヌガサが遅れた。3馬身差、5馬身差。完全に置いていかれたモニターキヌガサ..」

原子力艦船が横須賀基地に出入するたびに追尾して海水中の放射性物質の有無を調査するのが、双胴のモニター船「きぬがさ」だ。 佐世保の「さいかい」、中城(ホワイトビーチ)の「かつれん」ともども、運用は海保が行っている。スピードは15ノットまで出る。 原子力空母の入出港の際、「きぬがさ」は空母の長さ2隻分以内に近づき追尾していた。横須賀のモニタリングセンターを見学した際、 「もっと近づけないのか?」という問いに、センターの所長さんは「船長の判断で安全な範囲で接近している」と答えていた。
また、「きぬがさ」はどこまで追跡するのか?という問いには、「浦賀水道から湾内に入るところまで、また出る時は浦賀水道に出るま で。水道に入ったら追わない」と答えた。
今回のニミッツ出航時も「きぬがさ」は浦賀水道入航口近くまでは行ったようだが、それにしてもあんなに離されてモニターが可能だった のだろうか。
東京湾内では大型船は15ノット以上の航行はできないから、離されたのは「きぬがさ」の方に原因があったと思われる。

モニタリング体制については、船の問題以上に大きな問題が残っている。横須賀原子力艦モニタリングセンターの「守備範囲」は浦賀水道 を出てから横須賀港までだという。モニタリング・ポストの配置も横須賀港内だけだ。
東京湾内、特に原子力艦が航行する浦賀水道でのモニタリング体制はどうなっているのだろうか? 「東京湾の中でモニタリングできる資材機材はあるのか?」という質問に、センターの所長さんは「固定組み込みされた『きぬがさ』以外 に、横須賀海上保安部では可搬型の海水・海中で測れるものは備蓄している」とこたえた。それだけでは、あまりに薄い体制と言わざるを えない。

浦賀水道近くまでニミッツを追っていった「きぬがさ」が戻ってきて、なぜか早々に張られたバリケードにはばまれて立ち往生していた( というように見えた)
上掲の3枚目の写真には、バリケードを移動する作業船が映っている。
12号バースから原子力空母が出航するのは昨年9月のGWの母港化以降5回目になる。海保のモニター船が出航後の12号バース付近を調べる ことは、米軍側も十分承知のはずだ。
それをバリケードをさっさと張り巡らせて、モニター船を遠回りさせるのでは、シャブっ気を抜くために検査前に時間稼ぎをするのと同じ ことで、ニミッツが何かヤバイものを残していったんじゃないか、と疑いたくもなる。

(RIMPEACE編集部) (09.8.28 撮影)


本港中央でバリケードに阻まれ、12号バースに直進できない「きぬがさ」


2009-8-29|HOME|