横須賀基地13号バースの機能強化


ロス級原潜サンタフェが停泊中の13号バース。ここに新型原潜が着くようになる(09.6.3 撮影)


12号バースに停泊中の原潜シーウルフ(06.11.26 撮影)
 

「シーウルフ級・バージニア級原潜の横須賀基地13号バース停泊のための工事」の契約企業がFBO(Federal business Opportunity) から8月30日付けで発表された。
落札企業は五栄土木、落札額は115万ドル余、となっている。

五洋建設の関連会社の五栄土木の英語表記は Penta-Ocean Dredging Co.,Ltd. だ。Dredging とは浚渫のことだ。
「私たち五栄土木は、五洋建設が蓄積してきた高度な技術やノウハウを継承し、浚渫、埋立工事を始め、港湾土木、陸上土木など様々な 事業に取り組んでおります」(五栄土木社長のご挨拶より)
FBOの公告には、シーウルフ級・バージニア級原潜が停泊するのに必要な支援内容は一切触れられていないが、13号バースをさらに 掘り下げる工事を行うと見て間違いないだろう。
ロサンゼルス級原潜よりも排水量が大きいシーウルフ級とバージニア級原潜を停泊させるには、水深が不足しているということだ。

シーウルフ級はロサンゼルス級原潜の後継艦として設計された超高性能艦だが、建造費がかかりすぎて3隻で製造が打ち止めとなり、 バージニア級がその後を埋めた。
横須賀基地にはシーウルフ級1番艦のシーウルフと2番艦のコネチカットがそれぞれ3回寄港している。シーウルフの最初の寄港は06年 8月で11号バースに入った。シーウルフはその後2回寄港しているが、いずれも12号バースに入っている。
コネチカットは12号バースに1回、港外の錨地に2回停泊している。
バージニア級原潜は未だ横須賀に寄港していない。

13号バースが供用開始となりロス級原潜プロビデンスが入ったのが08年9月1日だ。それ以降で見ると、シーウルフが1回寄港してい るが、13号バースには入っていない。
原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)が12号バースにいるときは、現行ではシーウルフ級・バージニア級原潜は横須賀基地のバースに入ること ができない。約半年GWが12号バースを使うので、年間半分の期間シーウルフ級・バージニア級原潜の運用が制約される。
その制約を解消するのが、今回の五栄土木が行う工事だ。

原子力空母の横須賀母港化の動きは、GWだけの問題ではない。ニミッツなど外来空母が寄港するのは、原子力艦船に対する横須賀基地の メンテナンス機能をあてにしているからだ。
新型原潜の寄港の制約をなくす動きもあいまって、黙っていれば原子力艦の寄港はさらに増えることになる。

(RIMPEACE編集部)


13号バース支援工事の落札者を公告するFBOのヘッダー


2009-9-12|HOME|