米軍横須賀基地燃料埠頭前の浚渫


吾妻島燃料埠頭前海域の浚渫工事位置図(横須賀市ホームページ、報道資料より)


吾妻島燃料埠頭に停泊する中国船籍タンカー(CSC BRAVE)。浚渫区域はこの船
の手前側。左後方は横須賀本港に入る海自艦「ひゅうが」(2010.5.19 撮影)

横須賀基地の中で米軍の空母や指揮艦、巡洋艦、駆逐艦が停泊しているのが横須賀本港だ。この本港の隣の湾が長浦港で、海自の艦船が 停泊している「もう一つの軍港」だ。
本港と長浦港を隔てていた半島の付け根が、戦前に帝国海軍のために掘削され、補助艦船が通行できる水路となった。半島は吾妻島とな ったが、この島には米軍の燃料保管施設がある。そして、燃料を積んできた大型タンカーを泊める岸壁と、燃料移送装置がある。

この燃料埠頭の前の水域を浚渫するために、一時的に米軍に水域を提供することについての意見照会が国からあり、横須賀市が意見を述 べた。( 横須賀海軍施設における一部水域の追加提供に関する意見照会について(2011年5月11日)横須賀市ホームページ、報道資料)

国の説明によれば、堆積した土砂を取り除く維持浚渫で、目標の深さは13.3メートルだそうだ。
海保の海図によれば、この燃料埠頭の付近の水深は浅いところで11メートルほど。
定期的に横須賀にきていたマースクのタンカー(22,000t)の喫水が最高で12メートル、一時的なチャーターのタンカー(3万トン前後) で11〜12メートルの喫水だ。これまではこの燃料埠頭には、喫水を下げないように満杯の状態では入ってこなかった。
浚渫後は、もう少し搭載量を増やしたタンカーでも、吾妻島の埠頭に着岸することができるようになる。

この吾妻島の燃料埠頭には、この半年以上、2〜3万トンクラスのタンカーが入港していない。われわれの見る限り、大型タンカー の接岸は2010年10月のアイルトンU(3万トン)が最後だ。その後も小型のタンカーで鶴見の貯油施設に運び出しているし、厚木基地へ の航空燃料の陸送も吾妻島から行われている。
半年分以上の備蓄がある、ともいえるのだろうが、半年前から喫水の関係で入港がなくなっていたとすると、浚渫を開始するまでの時間 が長すぎるような気もする。

なお、浚渫工事期間は6月10日から、遅くとも7月末まで、となっている。

(RIMPEACE編集部)


吾妻島の燃料埠頭に停泊中の「最後の大型タンカー」アイルトンU(2010.10.15 撮影)


2011-5-12|HOME|