原潜シャイアン、空母を追うように横須賀出港


タグボートに曳かれて13号バースを離れた原潜シャイアン(SSN 773)



タグを離して自力航行に移るシャイアン。艦橋ではポータブルの水上レーダーが回っていた

9月19日午前10時、ロス級原潜シャイアン(SSN 773)が横須賀基地13号バースから出港した。
14日から寄港していたシャイアンは、空母GW出港の1時間後の出港だった。

シャイアンは母港のパールハーバーを4月1日に出て、6ヶ月の任務航海中だ。何もなければ、今月末にはハワイに戻るはずだ。
ジョージ・ワシントンの艦隊につく原潜はシャイアンではないだろう。

原子力艦の横須賀入出港時には、海水の放射能汚染がないかどうか、海保の調査船が追尾して調べている。
原子力軍艦放射能調査指針大綱 (1968.9.5 原子力局) 2.調査体制 (1)調査の目的と種類 B 寄港時調査 は、
「軍艦寄港時に、周辺の放射能水準を観測して、軍艦からの放射性物質の排出を監視し、異常値が発生した場合には、その原因を 追求するとともに、放射能の水準、空間的拡がり、持続状況等を把握して、周辺住民の安全確保のために必要な処置をとる。」と している。
調査担当機関は当該港湾海上保安部、使用機器はモニタリングボート、調査事項は「空間及び海水中の放射能の移動連続測定」だ。

原潜シャイアンの出港時に、海保の「くりかぜ」(モニタリングシップ「きぬがさ」留守中の代わりのモニタリング船)が浦賀水道北 側入り口付近まで追尾していったのを、平和船団のボートから確認した。
一方、1時間前に出港した原子力空母についてはどうだったのだろうか。ジョージ・ワシントンが12号バースを離れたときには空母 の後方についていた「くりかぜ」は、横須賀本港から外には出て来なかった。
赤灯台の先まで平和船団のボートで空母を追跡したが、米軍タグや警備艇、エスコートする海保の艦船は空母に併走していたが、 放射能調査を行うモニタリングボートの姿は無かった。

原子力艦船が1時間の時間差で出港した場合、稼動可能なモニタリングボートが1隻しかなければ、両方の原子力艦を追尾して放射 能調査を行うのは物理的に無理な話だ。
原子力防災の最前線の横須賀で、原子力艦入出港時のモニタリングに対応できない事態が発生している。これは、横須賀海保の問題 ではない。

(RIMPEACE編集部)(2011.9.19 撮影)


浦賀水道に向かうシャイアンと、追尾して放射能調査を行う海保「くりかぜ」(CL 130)


2011-9-20|HOME|