横須賀からピュージェットサウンドへ
コンテナ運搬の貨物船手配の手続き始まる


横須賀からピュージェットサウンドへのコンテナ輸送の貨物船チャーターの事前通告(FBO)

原子力空母ジョージ・ワシントンの定期修理は毎年、年末から4月ころまで行われる。原子炉の修理も行われていて、修理で出てくる放射性廃棄物を米本国に運搬する貨物船が、2009年は3月 25日、2010年は4月14日、2011年は震災前の予定で4月11日をめどに横須賀基地の13号バースに入り、原子力空母から運び出された放射性廃棄物の入ったコンテナを積み込んで、 米ワシントン州のピュージェットサウンド海軍造船所・中間修理施設(PSNS&IMF)まで運ぶ。

今年の運搬船の手配は2月10日に事前通告が出された。RFPが示される前の手続きの段階だが、それにしても昨年、一昨年より早い時期に動き出している。過去2年間は、 正式にRFPが出ると、ほぼ1か月後にチャーター貨物船が入港するスケジュールになっている。事前通告に対する応答期限が2月16日だから、すぐにRFPを示せば3月中には貨物船が横須賀 に寄港することになる。放射性廃棄物の積み出しが行われるということは、原子炉周りの修理がほぼ終わったことを意味する。昨年(予定)、一昨年より10日から半月早く定期修理が終わること になるのではないか。

今年に入っても、空母の甲板に工事用の大テントが建てられることはなかった。テントを建てて行うような時間のかかる修理工程を省いて、早めに定期修理を終えるという目標で今も工事が進め られていることの現われだ。
空母の工事期間を短くするのは何のためだろうか?

空母2隻が西海岸を出発して太平洋を西に向かったのはカールビンソンが昨年11月末、リンカーンが12月初旬だった。そのうちの1隻がステニスと交代してペルシャ湾に、もう1隻が定期 修理中のジョージ・ワシントンの代わりに西太平洋に展開する予定だったとみられる。ところがホルムズ海峡をめぐる緊張のために、2隻の空母をアラビア海からペルシャ湾に貼り付けること になった。ステニスは7月下旬に母港を出て任務航海にはいっているから、極東にあまり長く貼り付けるわけにもいかない。
そんな空母のやりくりの問題が生じたために、ジョージ・ワシントンの定期修理の期間が短縮され、早めに任務航海に出られるようにしたのだろう。

国内では行われないはずの原子炉修理が横須賀基地で行われ、発生した放射性廃棄物が米本国に運ばれる。今回の貨物船チャーターの事前通告には、放射性廃棄物とは書かれていないが、コンテナ 8個を横須賀からPSNS&IMFに運ぶために貨物船をチャーターしていることを見れば、約束違反の放射性廃棄物の輸送をなるべく秘匿したい日米両政府の意図とは別に、これが放射性廃棄物 の輸送のためであることは明らかだろう。

(RIMPEACE編集部)


12号バースで定期修理中のジョージワシントン。工事用の大型テントは今年は建たなかった(2012.2.8 撮影)


2012-2-12|HOME|