ジョージ・ワシントンの定期修理始まる


飛行甲板でカタパルトの修理点検の準備が始まった空母ジョージ・ワシントン


艦橋にも足場が組まれた。艦番号の73が隠れている

2月に入って、原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)の定期修理が始まった。分解して点検・修理の対照となるカタパルト(艦載機射出装置)を取りはずす作業を行う準備で、屋根型の 覆いが飛行甲板に揚げられた。並行して進められる艦橋に取り付けられたレーダーを点検修理するための足場も組まれ始めた。

これらの修理は、これまではクリスマス休暇明けから始められていた。秋季パトロールから横須賀に戻り、1か月間の戦闘待機期間を経てから定期修理に入っていた。
2012年秋のパトロールからの戻りは11月20日で、これまでと大差ないスケジュールで空母は修理モードに入ると思われた。その定期修理入りが1か月延びたのはなぜだろうか。

ワシントン州エバレットを母港とする米原子力空母ニミッツの原子炉の冷却ポンプに故障が生じた。船体の側面に穴をあけて、ポンプを取り出し交換してから船体の穴をふさぐ大工事が必要で、 ニミッツは数か月間動けなくなった。
ニミッツは1月に出港して中東方面に向かう予定だった。ペルシャ湾などでの空母の2隻体制に穴が開き、今いる空母の中東派遣期間を延ばしたり中東展開予定を早めたりする対応をとらざる を得なくなった。

GWが定期修理に入れば、極東をカバーする空母がやってくるはずだった。それは米西海岸とペルシャ湾を往復する途中に1か月ほど西太平洋にいるという形でとられてきたが、中東派遣の スケジュールを大きく変更せざるを得なくなり、1月に西太平洋に即応態勢の空母を確保できなくなった。その結果、GWが定期修理入りを1か月延ばして対応した。
これが2月になって工事を始めた理由だろう。

GWの横須賀在港期間が延びれば、厚木基地から訓練に出かける艦載機の爆音が基地周辺に突き刺さる期間も延びる。
風が吹いてから桶屋が儲かるまでのプロセスよりはるかにリアルに、米本国の空母の原子炉の故障が厚木基地周辺の爆音増につながってきた。

(RIMPEACE編集部)(2013.2.7 撮影)


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