海自輸送艦「くにさき」、米豪兵載せて横須賀から演習に


横須賀本港を出て横須賀航路を進む海自輸送艦「くにさき」(LST 4003)


「くにさき」の甲板上に集まる白っぽい制服の兵士は、海自隊員には見えない。(2014.5.29 撮影) 

海自輸送艦「くにさき」が、横須賀基地の海自桟橋ではなく、米海軍の奥まった桟橋9号バースに停泊したのは5月25日だった。「くにさき」は5月15日に佐世保を出港、16日に呉に入港、23日に 呉を出て2日後に横須賀の米海軍の埠頭に接岸した。佐世保で陸自隊員を積んだのが確認されている。

防衛省の5月21日付の「パシフィック・パートナーシップ2014参加について」では、6月6日からベトナム、カンボジア 及びフィリピンで行われる「パシフィック・パートナーシップ2014」に参加して、「関係国との間の相互理解及び協力の促進並びに民間団体との協力の促進を図るとともに、自衛隊における 国際平和協力業務及び国際緊急援助活動に係る医療及び輸送に関する技量の向上を図る」としている。
派遣部隊は
(1)自衛隊医療要員:人員約40名
(2)陸自施設要員:人員約10名
(3)海上自衛隊:人員約150名、輸送艦(LST)くにさき1隻
(4)航空自衛隊:人員約30名、輸送機(C−1)1機
そのほか、特定非営利活動法人国際緊急医療・衛生支援機構 12名も参加する。

「くにさき」はこの演習の参加艦だった。ではなぜ海自の桟橋でなく米海軍の桟橋に?

『「くにさき」は5月29日、140人の米豪兵士を載せて横須賀基地を出港した。海自の艦船が100人単位の外国軍隊を運ぶのは初めて』『くにさきの艦長は、「米豪軍が乗艦し、現地でもプラット フォームとして活用される」と語った』(2014.5.30 読売新聞横須賀版)

何故に海自の逸見桟橋で積み込まなかったのか、外部から見えにくい9号バースで米豪軍の兵士を(車両も?)積んだのか、何か隠したいものがあったのか疑問が残る。 さらに、もし集団的自衛権が行使されるようになったら、その行使の主要な場面は「米艦の護衛」なんぞじゃなく、米兵の海自艦による輸送と護衛になるだろうことも、今回の外国軍隊の輸送 訓練から見えてくる。

外国軍兵士の大量輸送という大きな転機を演じつつ、29日9時過ぎに「くにさき」は観音崎をまわって東京湾の外に向かった。

(RIMPEACE編集部)


米軍横須賀基地の9号バースに停泊する「くにさき」のマスト(2014.5.28 撮影)


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