17.4.30 ヨコスカ平和船団同乗記

米艦防護の役者、横須賀に揃っていた



防護される補給艦リチャードEバード(T-AKE 4)。4月29日に錨地に来ていた

4月30日、ヨコスカ平和船団が軍港に船を出す日の朝日新聞に「米艦防護 初の命令」「海自艦、あす出港」という見出しの記事が一面に出た。
横須賀から5月1日に「いずも」が出港、房総半島沖で米海軍の補給艦と合流、四国沖まで防護しながら航行する、とのことだ。

29日から横須賀港外錨地に停泊している米軍の貨物弾薬補給艦がいる。朝日の記事に米軍補給艦の名前はでていなかったが、近辺に米軍大型補給艦は錨地に停泊中のこの船しかいない ことから、この4万トン超の貨物弾薬補給艦リチャードEバードが防護される役を演じるとみて間違いない。

平和船団のボートが沖に出てバードの近くまで行ったが、荷積みの動きは全くなし。ただ出港まで時間を過ごしているようだった。そのくせ平和船団のボートが船を一周すると、船から サイレンが鳴らされ、「警告、許可なしに船に近づいてはいけない」てな意味の放送が日本語と英語で繰り返された。ただ、横須賀基地の警備艇が来るでもなく、錨地での防護の必要性 は、米軍も感じてはいないようだ。

この船を防護して四国沖まで「いずも」が航行するのが、初の米艦防護命令によるものだ。ところで「ヘリ空母」は単独では自艦の防御は弱い。米艦を防護しなければならないような 「危険な海域」で、「いずも」の防護はどうするのだろう。

「いずも」艦載の対潜ヘリによる防護が必要な状況なら、陸上基地、たとえば厚木から運用されるP1、P3C大型固定翼対潜哨戒機のほうが対潜能力は強力だし、ばかでかい船を動かす よりも対潜哨戒機一機を飛ばすほうが費用も安上がりだ。

どうしても船を付けて護衛するというのなら、むらさめ型護衛艦が横須賀にたくさんいるし、そもそも米軍がこの補給艦の防護が死活的な問題なら、30日の平和船団で見てもわかるよう にすぐに動ける米軍駆逐艦が3隻はいる。なぜ米軍が自前の駆逐艦で防護しないのか、それでも海自艦が護衛するというのなら、「いずも」より適任の護衛艦がたくさんいる。

「いずも」を米艦防護の第1号に選んだのは、結局軍事的な意味ではなく「写真映り」などの「アピール力」からでしかない。
安保法制の安倍政権による実体化は、「軍事的合理性」すら伴っていないことが、今回の「いずも」の米艦防護の動きからもわかる。

海上保安庁東京湾海上交通センターの大型船入航情報によれば、「いずも」は5月1日11時に浦賀水道に入り南下する。その1時間後にリチャードEバードが浦賀水道に入り「いずも」 の後を追う。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)(2017.4.30 頼 撮影)


防護する側の護衛艦「いずも」。18日から逸見桟橋に停泊している


30日はヨコスカと呉の平和船団が合同で海上デモを行った。


ヨコスカ平和船団乗船希望者は、ようこそ!ヨコスカ平和船団へにアクセスして、申し込んで下さい。 毎月最後の日曜日に平和船団の船が軍港を走ります。


2017-4-30|HOME|