坊主憎けりゃ...マケイン隠し


63番の後ろのマケイン(56番)の艦尾につけられた艦名隠しのバージ(艦尾の足場の右、薄い青色と白)(19.5.26 頼 撮影)


マケインの艦尾に隙間ができた。艦名隠しはやめた(5.27 頼 撮影)

5月28日のトランプ横須賀基地訪問の余話だ。

大統領の横須賀訪問時に、横須賀常駐の米軍駆逐艦ジョンSマケインを目に触れないようにしろ、こんな要求がホワイトハウスから米海軍にあった、とウォール・ストリート・ジャーナル(以下WSJ)が報じた。

ジョンSマケイン(DDG56)は、トランプの政敵のマケイン上院議員(昨年8月死去)の父・祖父の名前にちなんで命名された。死去する1か月前に海軍省長官はマケイン上院議員もこの船の名前に寄与することを決め、マケイン氏は「大変名誉なことだ」と述べた(WSJ)

トランプ大統領が直接指示したとは思えないが、ホワイトハウスのとりまきたちが「忖度」して、政敵の名前にちなむ船が大統領の目に写らないように、米海軍に要求したんだそうだ。

WSJによれば、トランプ訪日の前日の24日には艦名ジョンSマケインを隠す防水布が駆逐艦の艦尾に張られ、水兵たちはマケインの艦名が書かれた覆いなどをすべて外すように指示された。

24日に防水布が艦名を隠している写真が撮られたあと、その布は25日に外され、バージがマケインの艦尾近くに置かれたが、このバージも大統領の横須賀訪問前に移動した(第7艦隊広報官談、WSJ)。

ヨコスカ平和船団は定例の海上行動を5月26日(最終日曜日)に行った。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」みたいなアホらしいことが「真面目」に進行中とは知らないままに撮っていた米艦の写真 の中に、艦名隠しのバージが、マスターピア・ウェストに接岸するジョンSマケインの艦尾に接して写っていた。翌月曜日にはそのバージはマケインから少し離されていた。

始めは半信半疑だった横須賀を舞台とするマケイン隠しは、本当に起きていたのだ。

姑息な艦名隠しは大統領の横須賀訪問前に外されたが、ニューヨーク・タイムズは海軍兵士の話として「ジョンSマケインの兵士は、ワスプ艦上でのトランプ演説に招かれていない」「マケイン以外の横須賀にいた軍艦からは、それぞれ60人から70人の兵士が招かれた。マケインの水兵が何人か艦の記章のついたユニフォームで参加しようとしたが、追い返された」と紹介している。

ペンタゴンはホワイトハウスに対して「軍の政治的な利用をやめるよう」に申し入れた。(AP)

自他ともに許す「最強の軍隊」「最強の艦隊」が、実はエライさんの感情とそれを忖度する取り巻きたちに支配されていたのだ。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


トランプ演説の当日、基地内に停泊中のジョンSマケイン(左、56番)(5.28 頼 撮影)


2019-6-9|HOME|