イージス艦「みょうこう」、原子力空母レーガン随伴艦の役割を肩代わり


レーガンの横須賀帰港の前日午後に横須賀基地に入港した「みょうこう」(19.8.23 頼 撮影)


横須賀帰港直後の空母レーガン(76番)と、前日横須賀に入港した「みょうこう」(手前右端)(19.8.24 頼 撮影)

まず、報道はこうあってほしいという私の願望を書く。

「実質的に空母の随伴艦の役割か―海上自衛隊イージス艦「みょうこう」(DDG175)、アメリカ海軍の原子力空母レーガンと共同訓練。中国海軍潜水艦の重要航路であるのバシー海峡(台湾−フィリ ピンの間)から横須賀までの約2600キロの海空域、レーガン艦長からの要請に応え、岩屋防衛大臣は米艦防護発動を決定した」

 こう報道されれば、多くの人々が「海自はとうとうそこまでやるのか」と危機感をもつだろう。しかし、マスコミの報道はない。防衛省が事前に訓練情報を公開していないからだ。海上幕僚監部 は8月24日の「訓練終了日」になって、ようやく訓練情報を公開。訓練目的は「海上自衛隊の戦術技量の向上及び米海軍 との連携の強化」、訓練項目は「各種戦術訓練」とあっさりしたものだ。

訓練初日の13日、翌14日、空母レーガンは、貨物弾薬補給艦リチャード・E・バード(T-AKE-4)から補給を受けており、これを護衛するところから「みょうこう」の任務は始まったようだ。

レーガンは20日〜22日まで東シナ海で艦載機の離発着訓練を行っている。この訓練の護衛も「みょうこう」の任務だったと思われる。
8月19日の新聞報道によれば、今年5月、東シナ海の排他的経済水域の日中中間線付近で、中国軍の戦闘爆撃機が海自の艦艇を標的に攻撃訓練を行っている。
今回の訓練での「米艦防護発動」は私の推測であるが、現在の緊張状況では発動されたと見る方が自然だろう。

防衛省は2018年1年間で、米海軍の艦船に対しては6回発動、うち3回は共同訓練において、3回は「弾道ミサイルの警戒を含む情報収集・警戒監視活動」でと発表している。この他に米軍航空機の 防護に10回発動している。

海自OBの元自衛艦隊司令官香田洋二は、「中国海軍の全般任務を考慮した海自の主要任務の一つとして、(中国海軍の)東海艦隊と南海艦隊及び空母機動部隊の西太平洋進出を阻止するための、 南西諸島のチョーク・ポイントおよびバシー海峡の管制がある」(「日中海軍戦力を比較する-2030年における中国海軍の能力と海上自衛隊」『世界の艦船』2017年3月号)と主張する。

こうした戦略が、海自の中でどの程度の合意があるかよくわからないが、現実に、南シナ海−バシー海峡−南西諸島において、中国海軍の動きを牽制する訓練が重ねられている。こうした軍事力の 展開はジワジワと緊張をエスカレートさせていくだろう。

「うちもやらないから、あんたらもやめて」、そういう外交交渉の方が、よほど賢明だと、私は確信している。

(すべての基地に「No!」を・ファイト神奈川 木元茂夫)



隣り合って航行するレーガンと「みょうこう」(dvidsのページより。撮影は7月28日、Coral Sea となっている)


2019-8-31|HOME|