放射性廃棄物運搬船、いまだ寄港せず


原子力空母の艦首のオーバーハングの下に、13号バースが見える。放射性廃棄物運搬船はこのバースに停泊する


12号バースの原子力空母レーガン。原子炉メンテを含む定期修理はほぼ終わったように見える(20.4.8 頼 撮影)

毎年、原子力空母の定期修理中の原子炉メンテナンスで出る放射性廃棄物は、米本国送られ処理される。放射性廃棄物運搬船が積み出し岸壁の13号バースにやってくる時期は毎年4月ころだ。

米連邦政府の業務公告サイトbeta.SAM.govに掲載された、放射性廃棄物運搬船チャーターの公告によれば、運搬船が積み込み行うスケジュールは、3月30日から4月2日までに積み込みを開始する、 となっている。そして、今年の輸送契約の獲得社が使用する船は貨物船オーシャン・ジャズというところまで3月4日までに決まっていた。

ところが、4月に入ってもオーシャン・ジャズは横須賀に姿を見せなかった。キャンセルデイの4月2日を過ぎても入港しなければ、契約はキャンセルされる。そんなことは、これまでの放射性廃棄物 の積み出しの中で一度もない。ただし、募集の公告のあとでキャンセルして、3か月先延ばしにしたことはあった。

2011年3月11日の東日本大震災による福島第一原発の破局的な事態に備え、原子力空母ジョージ・ワシントンが定期修理を途中でやめて横須賀を離れたときだ。このときは3か月後に、貨物船コース タル・ベンチャーが放射性廃棄物を原子力空母から引き取って米本国に送った。

今回は、コロナウィルス蔓延を防止するために、日本から米国への貨物の輸送を抑える動きがあったとみられる。日本から貨物を運んで米国の港に入ったら2週間隔離されるようなことになったら、 貨物海運会社はお手上げとなろう。

今回の放射性廃棄物の本国移送については、コロナウィルス禍が収まってからでないと再開できないだろう。それが何か月後になるのかは、全く予測がつかない。少なくとも、福島第一原発の メルトダウンの時よりも時間がかかるのではないだろうか。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


ほぼ1年前には、放射性廃棄物運搬船が13号バースからはみ出すように停泊していた(19.4.29 頼 撮影)


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