米補給艦、横浜の民間ドックへ


横須賀基地12号バースを離れた燃料補給艦ラパハナック


横須賀本港を出て、横浜方面に針路をとるラパハナック(20.10.14 頼 撮影)

9月23日から横須賀基地12号バースに寄港していた燃料補給艦ラパハナック(T-AO 204)が、10月14日昼に出港した。

なにもしないで12号バースに停泊していたラパハナックは、任務のために外洋に出るのではなく、東京湾の奥にむかい、横浜港の三菱重工横浜製作所の岸壁に接岸した。
昨年4月から5月にかけて、横須賀配備の駆逐艦ミリウス(DDF 69)が接岸して、緊急修理を受けていた場所に、今度は大型の補給艦が入った。

昨年の駆逐艦の修理は、弾薬を搭載したままの可能性が大きく、初めての民間会社での修理だったことと合わせて、その危険性がクローズアップされた。
弾薬搭載の有無をはっきりさせないまま、ミリウスは修理のあと横須賀に戻ってきた。

今回の燃料補給艦は、弾薬を積んでいる可能性は低いが、燃料を多量に搭載できる船だ。可燃物満載のまま修理に入れば、弾薬とは別の意味で危険なことになる。

ラパハナックは今年の6月半ばから、短い出航を挟んで8月なかばまで佐世保に寄港していた。その途中に横須賀港外錨地に一時寄港、そして佐世保からグアムに向かう間にまた横須賀 の錨地に一泊している。
グアムおよびその近海に半月ほど滞在したラパハナックは、ヴァリアント・シールド演習が始まる前にグアムを離れ、沖縄の東の海域と大島沖の海域でなんらかの訓練を行った後、横須 賀に入ってきた。
12号バースで燃料を抜くことは考えづらいので、船内の油槽には燃料が残っている可能性が強い。

米軍の大型艦船が、横浜港内の民間企業の施設に入って修理を受けるのは、これで2度目となる。
横須賀基地のドライドックがほとんど使用中で、大型の補給艦を入れるドックも空いていない。そんななかで、民間企業に米軍の軍艦の修理を広げていくのは、横須賀や横浜の基地機能 の拡大に他ならない。

昨年の駆逐艦の修理の時に、ふたたび繰り返されることを懸念したが、1年半足らずで現実になってしまった。
米海軍全体でも艦船修理の遅れが大問題として指摘されている。その解決の手立ての一つが、基地周辺の造船企業への修理の外注である可能性が強い。

自衛隊の艦船のメンテがどんどん進められている横浜港や川崎港に米軍艦船の修理が加われば、日米複合の基地機能はさらに厚みを増していく恐れがある。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)

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米駆逐艦の横浜での基地外修理、弾薬搭載したままか?(2019-5-5)
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14日夕刻、三菱重工横浜製作所のドックに接岸中のラパハナック(10.14 星野 撮影)


2020-10-15|HOME|