トマホーク10発、駆逐艦から浦郷弾薬庫に



バージから浦郷弾薬庫の岸壁にあげられるミサイル・キャニスター。スタンダード・ミサイル入りだ


最後の10基はトマホーク入り。液体燃料ロケットの文字と個体番号(S/N)がキャニスターに書かれている(2020.12.2 頼 撮影)

12月2日昼前、雨。浦郷弾薬庫の桟橋に弾薬輸送バージがつけられ、バージに積まれていたミサイルが陸揚げされ、桟橋からフォークリフトが一基ずつコンクリート壁の裏に運んで いた。すでにバージの上には20基ほどの白いミサイル容器(キャニスター)が残っているだけだった。

次々に陸揚げされるキャニスターには、スタンダード・ミサイル(中射程)の文字が書かれていた。対空ミサイルのスタンダードが入っていることを示す。

最後に陸揚げされた10基のキャニスターには、別の表示があった。 ROCKETS LIQUID FUELED (液体燃料ロケット)。海軍のミサイルで液体燃料なのはトマホークだけだ。ゴロゴロと トマホークが並ぶ光景は、その破壊力を想像すると怖いものがあった。

一基ごとに振られているシリアル・ナンバー(S/N)は、005980から006934まで飛び飛びの番号だった。少なくとも950発以上が生産されていることを示すが、その うちの何基が浦郷弾薬庫保管、そして横須賀常駐艦に配備されているのだろうか?

ここ数日、弾薬積み下ろし・積み込みを行う錨地に停泊していたのは、駆逐艦マスティンだけだ。少なくとも20基以上のミサイルがマスティンから降ろされたと考えられる。

マスティンは2月末に横須賀を出港して任務航海に出た。途中何度か横須賀に短い寄港を行いながら、9月半ばまで6か月は海上にいたことになる。その間レーガンと行動を共にしたこ ともあったが、単独で台湾海峡通過や南沙諸島での「航行の自由作戦」、津軽海峡一往復半などを行っている。

9月半ばに横須賀に帰港して錨地で弾薬などをおろしたあと、2か月ほど8号バースで待機していたが、11月下旬に相模湾で5日間の訓練を行った後横須賀に戻り、錨地でまだ装備し ていたミサイルなどを降ろしたのが、今回目撃されたトマホークなどだったと考えられる。

自艦や艦隊を空からの攻撃から守るためのスタンダード・ミサイルとは目的が異なるトマホーク・ミサイルは、いわゆる敵地攻撃のため、先制攻撃するためのミサイルだ。

横須賀常駐の駆逐艦や巡洋艦は、空母に随伴するという任務だけではなく、単独で米軍の力を見せつける作戦にも使われている。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


横須賀港外錨地で停泊する駆逐艦マスティンと接舷する弾薬バージ(12.1 木元 茂夫 撮影)


錨泊するマスティン。弾薬バージはすでに離れている(12.2 頼 撮影)


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