日米軍事一体化をさらに強めるキーンソード演習


米揚陸艦アシュランドのドックに入っていく海上自衛隊の強襲上陸舟艇LCAC(エルキャック)(海幕の広報ページより)

アメリカ海軍がキーンソード21の開始にあたって発表した文章には、「インド太平洋軍は10月26日から、自衛隊の部隊と共に日本の軍事施設のいたるところで、沖縄で、その領海で演習をはじめた」 「日米の二国間関係を強固なものとし、戦闘即応体制と相互運用性を強化するために計画された」とある。

在日米軍司令官ケビン・シュナイダー空軍中将と統合幕僚長山崎幸二陸将は、横田基地から空軍特殊部隊が使用するCV-22オスプレイに乗り込み、四国沖でへり空母「かが」(満載排水量26,000トン 、全長248m、呉基地配備)に着艦、原子力空母レーガンが並走するなか、開始演説を行った。

アメリカ海軍はイージス巡洋艦シャイローと同駆逐艦バリーを、海上自衛隊はイージス艦「あしがら」(佐世保)、ミサイル護衛艦「しまかぜ」(佐世保)、護衛艦「あさひ」(佐世保)、「しらぬい」 (大湊)、「いかづち」(横須賀)、「あまぎり」(横須賀)等を参加させ、カナダ海軍のフリゲート艦ウィニペグとともに大艦隊を編成した。
特筆すべきは、給油艦ティペカノー(満載排水量40,900トン、全長206.5m)と大型補給艦「ましゅう」(同25,000トン、全長221m)が参加し、「ましゅう」はバリーに給油を、ティペカノーは「いかづ ち」と並走している写真が公開されているので、これも給油をしたようである。「相互運用性」を実動訓練で確認している。

鹿児島県とから列島の臥蛇島での上陸訓練では、大型揚陸艦「おおすみ」(満載排水量14,000トン、全長178m)には大型輸送ヘリCH-47を搭載し、これに陸自水陸機動団とアメリカ海兵隊の隊員が、 乗り込んで臥蛇島に上陸した。
ヘリ空母「ひゅうが」に哨戒ヘリSH60とともに、西部方面航空隊の対戦車ヘリAH64Dを搭載している。護衛艦「すずつき」が「艦砲射撃」を行った。臥蛇島への着弾の写真は公開されておらず、 どのくらいの火力が投射されたかは不明である。

アメリカ海軍はドック型揚陸艦アシュランド(満載排水量15,939トン、全長185.8m、海兵隊員402名搭載可能)を参加させた。海自の大型揚陸艦「おおすみ」または「くにさき」の強襲上陸舟艇LCAC(エル キャック)がアシュランドのドックに入っていく写真が公開されている。
時速70キロを超える速度で海上を疾走し、最大200名の兵員を輸送可能なホーバークラフト艇である。実際に海兵隊員を載せたかどうかは不明であるが、ここでも「相互運用性」が確認されている。

徳之島では「野戦病院」が設置され、負傷者を熊本県に搬送する訓練も行われている。岩国基地所属の電子情報偵察機EP-3も参加したとされている。

ここで紹介したのはキーンソード21のごく一部に過ぎず、四国沖の大艦隊が27日以降、どういう行動をしたのかなど、不明な点も多い。引き続き情報収集を続けたい。

(木元 茂夫)


20.10.26 PHOTO Exersize で空母ロナルドレーガンを先導する「かが」。上空を艦載機の大編隊が飛ぶ。(US NAVY の広報ページより)


2020-11-5|HOME|