東シナ海で多国間訓練と日米共同訓練が拡大

5月11日から17日まで東シナ海で、日米豪仏共同訓練(APC21)が行われた。この枠組みとしては4月5日から7日まで、インド・ベンガル湾で行われた日米豪仏印共同訓練に続くものである。 参加艦艇は以下の通り。

海上自衛隊:護衛艦「いせ」(ヘリ空母DDH182、佐世保)、
護衛艦「あしがら」(イージス艦DDG178、佐世保)、護衛艦「あさひ」(DD119、佐世保)、
護衛艦「こんごう」(イージス艦DDG173、佐世保)、
輸送艦「おおすみ」(大型揚陸艦LST4001、呉)、
ミサイル艇「おおたか」(佐世保)、 ミサイル艇「しらたか」(佐世保)
哨戒機(機種の公表なし)、潜水艦(艦名の公表なし)
米 軍:ドック型輸送揚陸艦「ニューオリンズ」(佐世保)、P−8A(哨戒機)、MV−22(オスプレイ)
豪 軍:フリゲート艦「パラマッタ」
仏 軍:強襲揚陸艦「トネール」(満載排水量21,300トン、全長199m)、フリゲート艦「シュルクーフ」
陸上部隊(各国の人数は公表されていないが、計200人と報道されている)
陸上自衛隊  水陸機動団、西部方面航空隊
フランス陸軍 第6軽機甲旅団
米海兵隊   第3海兵師団、第3海兵兵站群、第1海兵航空団


日米豪仏共同訓練(APC21)で4か国艦船が合同航行訓練を行った(21.5.14 NAVY.milより)


相浦駐屯地で行われた、日仏米兵士の多目的レーザー交戦訓練システムを使った小銃取り扱い訓練(5.13 水陸機動団ツイッターより)

これに先立ち5月4日、この共同訓練に参加するフランス海軍のフリゲート艦シュルクーフと海自の大型補給艦「ましゅう」(全長221m、満載排水量25,000t)の洋上給油訓練が沖縄周辺海域 で行われた。トネールとシュルフークは9日に佐世保に入港した。13日には水陸機動団の拠点・相浦駐屯地で、「多目的レーザー交戦訓練システム」を使用した小銃の取り扱い訓練が行わ れた。14日には鹿児島港外で艦隊航行を行っている。
陸上部隊は14日に鹿児島県と宮崎県の県境にある霧島演習場に到着、15日、16日と訓練が行われたと報道されている。陸幕広報室は「陸上作戦等の水陸両用作戦にかかわる戦術技量及び 作戦遂行能力向上を目的とする訓練」としているが、市街地戦闘訓練も行われている。少なくも200人全員が各国の揚陸艦からヘリやオスプレイで上陸したわけではないようだ。
この訓練と関連するのかどうかは不明だが、8日には海自横須賀地方隊の護衛艦「やまぎり」がホワイトビートに入港、訓練最終日の17日には、やはり横須賀第6護衛隊の「てるづき」が ホワイトビーチに入港している。この他にも参加した艦艇があったかもしれない。

  一方、中国海軍東海艦隊は16日、イージス駆逐艦南京、フリゲート艦揚州、補給艦高郵湖(全長178.5m、満載排水量23,369t)の3隻に宮古海峡を南下して太平洋に進出させた。
さらに、アメリカ海軍のイージス駆逐艦カーチスウィルバー(DDG54)は18日、台湾海峡を通過し、南シナ海に向かった。東部戦区の張春暉報道官は記者会見で、「米側の行為は『台湾独立』 勢力に誤ったメッセージを伝え、意図的に地域情勢を妨害・破壊し、台湾海峡の平和と安定を脅かすものであり、我々は断固たる反対を表明する。
中国人民解放軍東部戦区は兵力を結集して米艦の通過行動の全航程を追跡・監視し、厳しい防備・警戒を行い、あらゆる威嚇と挑発に随時対処する」と発言した。アメリカ海軍は、 「日常的な作戦」として台湾海峡通過を繰り返す。
しばらくなかった中国軍機の台湾海峡上空飛行が20日に行われた。米中の軍事力の展開は次第にエスカレートし、これに引き摺られて日米軍事一体化はさらに進む。これに歯止めをかけ ねばならない。

最近東シナ海で行われた日米共同訓練は下記のとおり。そして、すでにお伝えしたように、空母レーガンの試験航海の護衛まで「共同訓練」の名目でやるようになってしまった。

■3月30日 海上幕僚監部 日米共同訓練について
1 目 的 海上自衛隊の戦術技量及び米海軍との相互運用性の向上
2 期 間 令和3年3月29日(月)
3 訓練海空域 東シナ海
4 参加部隊 (1)海上自衛隊:護衛艦「こんごう」(佐世保)
(2)米 海 軍:揚陸指揮艦「ブルーリッジ」 (横須賀)
5 訓練項目 各種戦術訓練

■4月10日 航空幕僚監部 米軍との共同訓練の実施について
航空自衛隊は、日米同盟の抑止力・対処力を強化するべく、次のとおり米軍との共同訓練を実施しました。
1 目的 航空自衛隊の戦術技量及び日米共同対処能力の向上
2 実施日 令和3年4月8日(木)
3 実施場所 九州西方の東シナ海上の空域
4 参加部隊 航空自衛隊:第5航空団(新田原)F−15×4機 第8航空団(築 城)F−2 ×4機
米 空 軍:F−15×4機 E−3(早期警戒管制機)×1機 KC−135(空中給油機)×2機
米海兵隊:F−35B×2機
5 訓練項目 防空戦闘訓練

■5月17日 海上幕僚監部 (お知らせ) 日米共同訓練について
海上自衛隊は、日米同盟の抑止力・対処力を強化すべく、次のとおり米海軍と共同訓練を実施しました。
1 目 的 海上自衛隊の戦術技量及び米海軍との相互運用性の向上
2 期 間 令和3年5月11日(火)〜5月16日(日)
3 訓練海空域 関東南方
4 参加部隊 (1)海上自衛隊:護衛艦「まや」 (2)米 海 軍:空母「ロナルド・レーガン」
5 訓練項目 各種戦術訓練

(木元 茂夫)


水陸機動団とフランス陸軍による霧島演習場での市街地戦闘訓練(5.15 水陸機動団ツイッターより)


護衛艦まやとロナルド・レーガンが行った機動訓練(5.16 NAVY.milより)


2021-5-23|HOME|