1996年の台湾海峡危機を上回る艦隊を「沖縄南西海域」に集結

一気に進んだ日米英艦隊の一体化 その1

  


「沖縄南西海域」での日米英蘭加新6ケ国共同艦隊。先頭左ヘリ空母「いせ」、右空母クイーンエリザベス、その後ろの両側は原子力空母カールビンソンとレーガン
(21.10.3 NAVY.mil)

原子力空母2隻と空母クイーンエリザベス

96年の台湾海峡危機では原子力空母ニミッツと空母インディペンデンスであった。
原子力空母と軽油で動く空母では航空機用弾薬の搭載量が異なる。軽油空母の1,200トンに対して原子力空母は2,970トンを搭載、航空機燃料も倍以上の9,000トンを搭載する。
空母船体の大きな比率を占めていた軽油タンクがなくなり、原子炉に置き換わったために、こんなことが可能になった。
戦闘爆撃機が1回の出撃に5トンの爆弾を搭載したとして594回の爆撃が可能である。2隻で1188回となる。空母クイーン・エリザベスの搭載量は不明であるが、満載排水量35,000トンを超え る大型補給艦2隻を引き連れており、相当なものと推測される。
随伴艦もイージス艦が4隻で長距離巡航ミサイルトマホークを多数搭載している。10月2日〜3日集結した艦艇は合計17隻であり。96年の16隻を上回った


イージス艦「きりしま」、オランダ海軍のフリゲート艦エファーツェン、その後ろ英補給艦タイドスプリングと同フォートビクトリア(21.10.3 NAVY.mil)


空母クイーンエリザベスに着艦するMV-22オスプレイ、普天間基地からの飛来か(21.10.3 NAVY.mil)

日英潜水艦訓練、原子力空母カールビンソンと2週間の訓練


英原子力潜水艦アスチュート(ROYAL NAVY)


横須賀港に停泊する海自潜水艦。どの潜水艦が「日英共同訓練」に参加したかは不明(21.9.26 木元 撮影)

前回報告した以降の動きを整理してみる。9月14日、15日に海自とイギリス海軍が潜水艦1隻ずつ出して、「日英共同訓練」が行われた。海上幕僚監部の発表に、艦名は記載されていない が、韓国に寄港した原潜アスチュート(6,800トン)であろう。訓練海域は「日本周辺」としか発表されていない。
そして、この訓練2日目に朝鮮(DPRK)は弾道ミサイルを発射したのである。
 9月17日には、横須賀配備のイージス駆逐艦バリーが台湾海峡を通過。そして、18日から10月1日までの2週間という異例の長期にわたって、海自は原子力空母カールビンソンと共同訓練 を行った。
訓練海域は「沖縄南方」、海自は佐世保基地所属の「イージス艦「ちょうかい」と横須賀の護衛艦「いかづち」を、続いて横須賀のイージス艦「きりしま」と護衛艦「やまぎり」を出動さ せた。

米空軍-空自共同訓練のエスカレート

 9月21日には、航空自衛隊が米空軍のB-52戦略爆撃機との「編隊航法訓練及び各種戦術訓練」を「日本海、東シナ海及び沖縄周辺空域」で行った。もはや恒例となってしまった訓練であ る。
24日には「那覇北西の東シナ海上の空域」という限定された空域で、B-52との「要撃戦闘訓練」を行った。「編隊航法訓練」の文字はない。 那覇の第9航空団のF-15戦闘機が2機、岩国基地のF-35Bステルス戦闘機2機が参加している。
この訓練は「恒例」の訓練とは異なり、中国空軍機との戦闘を想定した訓練ではないだろうか。訓練には自衛隊があるいは米軍が、近未来にどのような戦闘を想定しているかが含まれて いると考えた方がよいだろう。(その2に続く)

(木元 茂夫)


2021-10-13|HOME|