2021.10「空母いずも」への道、また一歩(3)

空母の甲板、塗装を見る


F35Bも運用する強襲揚陸艦アメリカの飛行甲板。固定翼機の離陸用のラインが書かれている(21.8.27 世嘉良 学 撮影)


ライトニング・キャリア―としての試験航海を行う強襲揚陸艦アメリカ。甲板の黄色いラインは「いずも」の新しい塗装と同じ(19.10.14 NAVY PHOTO)

現にF35−BライトニングUを運用している空母や強襲揚陸艦の飛行甲板には、固定翼機が滑走して離陸する際の目印となるラインがひいてある。

上掲の強襲揚陸艦アメリカ(LHA-6)の甲板には、艦尾から艦首に伸びるラインと、それに直交する2本のラインが黄色でひかれている。
長いラインは、固定翼機の発艦の方向を指し示す。そして短いラインは、ここから機体のリフトを始める位置と、ここまでに離艦しなければならない位置を示している。
「いずも」に引かれているラインは、実際にF35−Bを運用している艦の甲板に書かれているものと同じだ。

今回のJMU(マリン・ユナイテッド)でのドック入りで「いずも」に施された改修は、飛行甲板では大きく2つになる。
F35−Bの垂直離着艦時の高温の排気に耐えられる甲板の塗装と、離艦時の機体コントロールのためのマーカーのペイントだ。

10月初旬の米海兵隊F35−Bを使った「いずも」への離着艦の実機試験では、電子装置のチェックとともに、物理的な検査も行われたと思われる。
「空母いずも」への道は一歩進んだ、と言えるだろう。

カタパルトを使用せずに固定翼機を発艦させる空母では、英空母クイーン・エリザベスのようにスキー・ジャンプ台を備えて、斜め上方に機体を発艦させるものが多い。離艦時の機体重量 がスキー・ジャンプ台を使わない場合と比べて大きくできるために、搭載爆弾の量などを大きくできる、という効果があるが、艦上での艦載機の取り回しや搭載するスペースが減る、など の問題もあるようだ。

「いずも」の空母化に際して、スキー・ジャンプ台を付加する方向で検討が進めば、F35−Bの武器搭載量を増やし、防衛力から攻撃力に重点をさらにシフトすることになる。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


後方から見たクイーン・エリザベス。飛行甲板の中央線が艦首のスキー・ジャンプ台まで続いている(21.9.8 頼 撮影)


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