英海軍哨戒艦、横須賀寄港


横須賀基地13号バースに停泊する英海軍哨戒艦テイマー(P233)。船体にダズル迷彩が施されている。


 2月14日、イギリス海軍哨戒艦テイマー(HMS TAMAR)が横須賀基地に寄港し、13号バースに接岸した。
 2020年12月に就役したばかりのテイマーの横須賀寄港はもちろん初めてのことだ。

 哨戒艦テイマーは、同型艦のスペイ(HMS SPEY)とともに昨年9月、アフリカ東海岸から米国西海岸までのインド太平洋地域に5年間常駐する任務を帯びてイギリスから派遣された小型の軍艦だ。英海軍HPの記事「Patrol ships bid farewell to Portsmouth as they begin Indo-Pacific deployment」によれば、両艦の派遣の目的は「インド太平洋地域における英国のプレゼンスを強化するため」だ(https://www.royalnavy.mod.uk/news-and-latest-activity/news/2021/september/07/210907-spey-and-tamar-deployより引用)。

 同じ記事には、英海軍の軍艦に第2次世界大戦の頃まで使われていたダズル迷彩が、テイマーとスペイの両艦に施されたことが記されている。「プレゼンス」誇示の姿勢の表れだろう。また英海軍HPの別の記事によれば、テイマーは、香港返還以来初めてアジア太平洋地域に常駐する英海軍の軍艦となるという。

 横須賀基地に入港したテイマーのマストには国連旗が掲げられていた。
 英海軍の軍艦の入港の「正当性」を主張する根拠として、朝鮮戦争国連軍を構成する国の軍艦は1954年に結ばれた朝鮮国連軍地位協定第5条によって在日米軍基地への寄港が認められている、という理屈を示す国連旗ではないか。朝鮮戦争は法的にはまだ終わっていないため、「朝鮮国連軍」に加わっていた国の軍艦であれば、「朝鮮国連軍」を名乗れば日本の米軍基地に入港できてしまうという訳だ。


テイマーのマストには、国連旗が掲げられている。「朝鮮国連軍」所属の軍艦として入港しているとアピールしているのだろうか。

 今回横須賀に寄港する直前、テイマーは1月19日から31日までグアム島に寄港し、2月8日から11日まで沖縄のホワイトビーチに寄港している。他方、防衛省によればテイマーは、1月中旬と2月上旬に「北朝鮮籍船舶」の「瀬取り」などの海上活動の「警戒監視活動」を行ったという。
 確かに英海軍のHPにも、テイマーが1月に「international effort to enforce UN sanctions on North Korea」に参加したという記事が掲載されている。(https://www.royalnavy.mod.uk/news-and-latest-activity/news/2022/january/20/20220120-hms-tamar-enforces-un-sanctions-against-north-koreaより引用)

 上記の英海軍HPの記事には、テイマーが活動で集めた情報は横須賀基地内の「取締調整室(the Enforcement Coordination Cell)」に伝えられたという記述がある。また、昨年9月に東シナ海でイギリス海軍フリゲート艦リッチモンドが警戒監視活動を行った時にも、情報は横須賀基地内の「取締調整室」に送られたと書かれている。
 米軍横須賀基地内にそのような情報集約拠点があるということなのだろうか。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)(22.2.15 星野 撮影)


2022-2-17|HOME|