原子力空母レーガン、横須賀に戻る


横須賀基地の入り口に現れた空母ロナルド・レーガン(22.8.19 星野 撮影)


8月19日の朝8時頃、原子力空母ロナルド・レーガン(RONALD REAGAN CVN 76)が横須賀基地に帰港した。

約3ヶ月前の5月20日に横須賀を出港したレーガンは、6月にはグアム島周辺で行われた隔年実施の大規模演習「バリアント・シールド」に、原子力空母エイブラハム・リンカーン(ABRAHAM LINCOLN CVN 72)や強襲揚陸艦トリポリ(TRIPOLI LHA 7)などとともに参加した。
7月にはフィリピン近海から南シナ海周辺で中国を牽制する活動を行っていたようだ。
7月22日から26日にかけてはシンガポールに寄港していたが、米国のペロシ下院議長が台湾を訪問した時期には、フィリピン北方の台湾に近い海域を航行したと報道されている。
その後は、沖縄の東側や九州や本州に近い海域にいた模様だ。


8月5日、レーガン艦内で空母打撃群司令官ドネリー氏(右)と握手する護衛艦隊司令官福田達也氏(左)
米軍画像サイトDVIDS、https://www.dvidshub.net/image/7355965/uss-ronald-reagan-cvn-76-hosts-jmsdf-staffより引用

なお、ペロシ氏が台湾を出てから2日後の8月5日には、海上自衛隊の護衛艦隊司令官福田達也氏が部下の自衛隊員などとともに、「見学」の名目でこの原子力空母レーガンに乗り込んでいる。
その際、福田氏は、ロナルド・レーガン空母打撃群のマイケル・ドネリー司令官とともに艦上で共同記者会見を行った。
報道によればドネリー氏は「脅しに屈しない」などと述べたという。護衛艦隊司令官の福田氏は、米司令官の極めて政治的なパフォーマンスに参加したということだろう。自衛隊員が政治活動を行うことは許されていないはずなのだが…


横須賀港内で方向転換をする空母レーガン。甲板上に戦闘機が1機載っているのが見える(22.8.19 星野 撮影)


なぜか、飛行甲板上のジェット・ブラスト・ディフレクターを上げたり降ろしたりしていた(22.8.19 星野 撮影)



飛行甲板上に置かれていたFA18のモデックスナンバーは、304。第115攻撃飛行隊(VFA-115)所属のFA18スーパーホーネットだ。水平尾翼が壊れているようだ(22.8,19 星野 撮影)


ところで、今回の横須賀帰港直前の8月17日に、レーガン艦載機は岩国基地に飛来している。しかし、8月19日、横須賀基地に現れた空母ロナルド・レーガンの飛行甲板上に、1機だけFA18戦闘攻撃機が置かれていた。
モデックスナンバーNF304、第115攻撃飛行隊(VFA−115)所属のFA18スーパーホーネットだ。よく見ると、水平尾翼が壊れているように見える。
つまり、壊れているために岩国基地に飛ぶことができず、レーガンの甲板上に載せられてきた機体なのだろう。
おそらくは入港して数日のうちにレーガンから降ろされて、バージに積まれて横浜ノースドックに運ばれて、そこから米本国に貨物船で運ばれていくことになるのだろう。
このスーパーホーネットが、どのような事故でどのような故障をしたのか、米軍は日本列島で暮らす人びとに対して説明しなければならない。


横須賀基地12号バースに接岸するレーガン(22.8.19 星野 撮影)


レーガンの前を通り、海自基地に向かう練習艦「しまかぜ」(22.8.19 木元 茂夫 撮影)

「しまかぜ」は入港の際、登舷礼を行っていた(22.8.19 星野 撮影)

レーガンが8月19日の朝、浦賀水道を通って横須賀に入港する直前には、海上自衛隊の練習艦「かしま」と「しまかぜ」が、原子力空母の「露払い」をするかのような格好で浦賀水道を通過して横須賀に戻ってきた。この2隻は、今年4月から世界一周の練習航海を行っていた練習艦だ。
しかし、「しまかぜ」はもともと護衛艦だった船で、かなり強力な武器を装備している。この「しまかぜ」はレーガンよりも前に横須賀基地の入り口付近にやって来て、レーガンの入港の護衛をしているような位置に待機し、レーガンの入港が終わった後に、海自吉倉桟橋へと向かった。
つまり、今回のレーガンの入港の護衛を担ったのが、海自の「しまかぜ」だったのではないだろうか。

艦載機を岩国に降ろしてきたので、レーガンが1日や2日で再出港することはないかもしれない。しかし、着艦資格取得訓練を再び行わなければならないほどの期間、レーガンが横須賀にとどまるとも思えない。その前には、秋のパトロール航海に出るのではないだろうか。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


空母レーガンが12号バースに接岸した直後、錨地に停泊していた米軍チャーターの民間タンカーであるSLNC PAXが動き出して、米軍の貯油施設のある吾妻島に向かった(22.8.19 星野 撮影)



2022-8-20|HOME|