海自隊員、原子力空母に乗船し共同訓練


海上自衛隊HPの「お知らせ」に9月23日付けで掲載された、海上幕僚監部の発表


「日本周辺」で原子力空母などと共同訓練を行っているはずの9月19日に横須賀基地に入港し、吉倉桟橋に接岸した海自の護衛艦「あまぎり」。
船体に2つ大きな傷がある(22.9.19 星野 撮影)

9月23日、自衛隊の海上幕僚監部は、原子力空母ロナルド・レーガンや巡洋艦や駆逐艦などの米軍艦船と海上自衛隊の護衛艦「あまぎり」が参加する「日米共同訓練」を9月12日から22日にかけて日本周辺で実施したと発表した。
しかし、海上幕僚監部の上記の発表は、今回の「日米共同訓練」の全体像を説明しているわけではないようだ。
というのは、そもそも護衛艦「あまぎり」は、9月19日には横須賀基地に入港していたからだ。
海上自衛隊から唯一参加した護衛艦が離れた後も9月22日まで続いていたという「日米共同訓練」とは、いったいどのようなものだったのだろうか。


9月17日、原子力空母ロナルド・レーガン艦上から随行する海自護衛艦「あまぎり」を眺める、
米海軍第15駆逐隊のジャスティン・ハーツ副司令官(マスク非着用)と海自第1護衛隊の堀川雄司司令(マスク着用)
米軍画像サイトDVIDSより引用
(https://www.dvidshub.net/image/7424815/uss-ronald-reagan-cvn-76-and-js-amagiri-dd-154-conduct-joint-operations)


9月17日、レーガン艦上の米海軍第15駆逐隊の軍人(マスク非着用)と海自隊員(マスク着用)。
海自隊員の制服には「村雨」の印が付けられている。護衛艦「むらさめ」の乗員なのだろうか。しかし漢字で書く「村雨」は、旧日本海軍の駆逐艦の名前だ。
わざわざ旧日本海軍の名称を用いることで、旧日本海軍と海自の同一性を主張しているつもりなのだろうか。極めて危険な政治的行為ではないか。
米軍画像サイトDVIDSより引用(DVIDSに掲載されている写真には目隠しはない)
(https://www.dvidshub.net/image/7424814/uss-ronald-reagan-cvn-76-and-js-amagiri-dd-154-conduct-joint-operations)


9月17日、レーガンの艦橋から飛行甲板を眺める海自隊員
米軍画像サイトDVIDSより引用
(https://www.dvidshub.net/image/7424813/uss-ronald-reagan-cvn-76-and-js-amagiri-dd-154-conduct-joint-operations)


米軍の画像サイトDVIDSに掲載された写真とその説明によれば、今回の日米共同演習では、複数の海上自衛隊員が原子力空母ロナルド・レーガンのthe sea combat watch floorなる部屋に配置され、米軍人とともに作戦行動の協議、伝達を行ったようだ。
また、第1護衛隊司令の堀川雄司氏がレーガン艦上から「あまぎり」の航行を見守っている写真も、米軍画像サイトには公開されている。

にもかかわらず、海上幕僚監部の発表には、今回の「日米共同訓練」で海自の尉官や佐官が原子力空母に搭乗して米軍のもとで活動したという重要な情報が記載されていない。これはどうしてなのだろうか。
米軍が大っぴらに公開しているところを見ると、軍事秘密でも何でもない情報なのだろう。
それでも自衛隊は、日本列島で暮らす市民には知らせずに隠しておきたいということなのだろうか。



9月20日、原子力空母レーガンのthe sea combat watch floorで訓練を行う海自隊員(マスク着用)と米軍人(マスク非着用)
米軍画像サイトDVIDSより引用(DVIDSに掲載されている写真には目隠しはない)
(https://www.dvidshub.net/image/7428847/jmsdf-operate-alongside-desron-15-aboard-uss-ronald-reagan)


9月20日、原子力空母のthe sea combat watch floorの海自隊員たち。手前の隊員は護衛艦「こんごう」の乗員のようだ。
米軍画像サイトDVIDSより引用(DVIDSに掲載されている写真には目隠しはない)
(https://www.dvidshub.net/image/7428851/jmsdf-operate-alongside-desron-15-aboard-uss-ronald-reagan)


ところで、DVIDSに掲載された今回の「日米共同訓練」の写真を見ていると、奇妙なことに気がつく。それは、レーガン艦上の海自隊員は皆、マスク姿であるのに対して、海自隊員に顔を近づけて語りかけている米軍人はいずれもマスクをしていないということだ。
これはどういうことなのだろうか。
海上幕僚監部の9月23日付け発表には「新型コロナウイルス感染症への必要な対策を行い実施しました」と書かれているが、その「必要な対策」には、海自隊員に接触する米軍人のマスクの着用は含まれていないということなのだろうか。

もしかしたら海上自衛隊は、隊員に対してはマスクを着用させても、海自隊員に接触する米軍人にはマスクの着用を求めることすらできなかった、ということではないだろうか。
それとも、頼んでも米軍人は誰もマスクをしてくれなかった、ということなのだろうか。
今回の一連の写真には、自衛隊と米軍の関係性が、図らずも象徴的に写し出されてはいないだろうか。

なお、9月12日に横須賀を出港した原子力空母ロナルド・レーガンに海自隊員がいつ、どのようにして乗り込んだのか、そしていつ、どのようにして下船したのかは、不明だ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


2022-9-24|HOME|