オーストラリア潜水艦の出港を海自タグボート2隻が支援

日豪物品役務提供協定の発動か


オーストラリアの潜水艦に海自タグボート2隻がついている


海自のタグが、オーストラリアの潜水艦を引っ張っている



海自のタグボートがオーストラリアの潜水艦を押す


11月15日、日米印豪共同訓練(マラバール2022)の最終日。この日は実質的な訓練はなかったようで、朝からインド、オーストラリアそして海上自衛隊の艦艇が続々と横須賀に帰って来た。

午後0時50分頃、海自のタグボート2隻がオーストラリアの潜水艦ファーンコム(HMAS Farncomb)(艦番号の表示はないので推測)の近くにやってきた。
慌ただしく出港準備が進み、1時ちょうどにファーンコムは離岸した。

昨年から続いている外国艦艇の横須賀入港。その入港・出港の支援は、ほとんど民間のタグボートが担っていた。空母クイーンエリザベスなど何隻かは米軍のタグボートにより入港した。海自のタグボートが支援するのを見たことはなかった。

2017年に締結された「日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とオーストラリア政府との間の協定」の第2条2項には、
「この協定に基づいて提供される物品又は役務は、次に掲げる区分に係るものとする。
食料、水、宿泊、輸送(空輸を含む。)、燃料・油脂・潤滑油、被服、通信業務、衛生業務、基地活動支援(基地活動支援に付随する建設を含む。)、保管業務、施設の利用、訓練業務、部品・構成品、修理・整備業務(校正業務を含む。)、空港・港湾業務及び弾薬」
とある。
同協定の付表にはさらに詳しく「航空機の離発着及び艦船の出入港に対する支援、積卸作業並びにこれらに類するもの」とある。

11月8日には大型補給艦ストールワートが何やら物資を積み込んでいたが、民間業者とオーストラリア軍兵士によるもので、海上自衛隊の支援はなかったようだ。

今回の海自タグボートによる出港支援をステップアップとして、日本とオーストラリアの防衛協力はさらに拡大していきそうである。
2022年1月に締結された「日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定」(日豪円滑化協定)の第5条1項には、「接受国は---訪問部隊の船舶又は航空機による接受国の港又は飛行場へのアクセスの許可を迅速に与える」とある。

(木元 茂夫)(22.11.15 木元 撮影)

2022-11-18|HOME|