原子力空母レーガン横須賀出港、試験航海か


5月5日10時過ぎに動き出した原子力空母ロナルド・レーガン


12号バースから出てきたレーガン


飛行甲板上では登舷礼は行われていない。エンジンの入っていないダミーのFA18の機体が1つ、載せられている


基地を出て、沖に向かうレーガン

5月5日、原子力空母ロナルド・レーガンが横須賀基地を出港した。

昨年11月19日に任務航海を終えて横須賀に戻ったレーガンは、今年に入ってから定期修理を行っていた。
外から見る限り4月半ば頃には主要な工事は終わっていたように見えていたが、出港は結局5月に入ってからになった。

レーガンは、原子炉燃料棒の交換などの大規模な工事を行うため、今年夏頃に米国へ帰還することが既に公表されている。
そのため、今年は定期修理後の放射性廃棄物搬出は行われなかった。

5月5日の午前10時過ぎに12号バースを離岸したレーガンの飛行甲板上では、登舷礼は行われなかった。
ということは、今回の出港はおそらく短期間の試験航海ということだろう。

在日米軍司令部は、5月4日から15日にかけて、硫黄島でレーガン艦載機の着陸訓練(FCLP:Field Carrier Landing Practice)を実施すると発表している。
FCLPが終われば、洋上の空母で空母着艦資格取得訓練(CQ)が行われるはずだ。
したがって、それまでには、レーガンは試験航海を終えて一旦横須賀に戻ってきて、任務航海のために再び出港していくはずだ。

その任務航海への出港が、レーガンの横須賀との「お別れ」ということになるのだろうか。
レーガンに限らず、すべての原子力空母の横須賀との「永遠のお別れ」になってほしいものだが。

ところで、少なくとも近年、横須賀を出て試験航海に向かう原子力空母が、浦賀水道の航路を逸脱して、三浦半島の金田湾近くにまで入り込んで停船し、動作確認などの作業を行っているらしいことが確認されている。
昨年5月の試験航海の際にも、数時間にわたって金田湾付近で停船状態になっていたことが目撃されている。

今回の5月5日の出港の際にも、レーガンは午前11時過ぎ頃に三浦海岸沖にさしかかると、浦賀水道航路を明らかに逸脱し、金田湾側に進路を変えた。
その際には、飛行甲板上の遮蔽板(ジェット・ブラスト・ディフレクター)の動作試験を行っていることが確認された。

ただし、今回のレーガンは、金田湾に完全に入り込むことはなく、また完全に停船することもなく、一定程度金田湾に近づくと再び向きを変えて三浦海岸と平行に湾口方面に向けてゆっくりとした速度で南下を続け、その後12時頃には再度方向を転換して浦賀水道航路に戻り、やがて東京湾を出て行った。

金田湾に入り込むことはなかったとはいえ、巨大な原子力空母が、交通量の極めて多い浦賀水道で設備の動作確認を行ったり、航路を外れて金田湾に近づいたりすることは、非常に危険なことではないか。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)(24.5.5 星野 撮影)


午前11時過ぎには、三浦海岸沖近くに到達したレーガン


遮蔽板の動作確認を始めているようだ


11時19分頃、引き続き遮蔽板の動作確認を行いつつ、浦賀水道航路から逸れ始めたようだ




11時21分頃、2機のヘリの飛来が確認された


11時26分頃、浦賀水道航路からかなり逸れて、金田湾に近づいている


とはいえ、金田湾に完全に入り込むところまでは来なかった


11時38分頃、ある程度金田湾に近づいたところで再び三浦海岸に平行に向きを変えて進み始めた
既に1機、ヘリが着艦し、もう1機のヘリも着艦に向けて近づいている


11時39分頃、2機目のヘリが着艦しようとしている


11時51分頃、2機のヘリを載せて、浦賀水道航路から逸れた金田湾に近い位置を三浦海岸と平行に進むレーガン


12時頃、浦賀水道航路に戻るため、向きを変え始めたレーガン


12時4分頃、向きを変えたレーガン


12時23分頃、東京湾の出口へと進むレーガン


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