補給艦「ときわ」、台湾海峡通過前の加フリゲート艦に洋上給油
カナダ海軍フリゲート艦モントリオールはその後、米イージス艦ラルフ・ジョンソンと共同作戦行動
横須賀基地逸見岸壁に停泊する補給艦「ときわ」(24.7.22 木元 撮影)
海上自衛隊横須賀基地所属の補給艦「ときわ」は7月28日、東シナ海でカナダ海軍のフリゲート艦モントリオール(HMCS MONTREAL FFH 336)(全長134.7m、満載排水量5,235t)と洋上補給訓練を行った。
モントリオールはその2日後の30日、横須賀基地を母港とするイージス駆逐艦ラルフ・ジョンソン(RALPH JOHNSON DDG 114)(全長155.3m、満載排水量9,880t)と共同作戦を実施。そして31日、モントリオールは台湾海峡を通過した。
モントリオールは5月末以来、米海軍とさまざまな共同訓練を繰り返してきた。米海軍の発表から、その経過を追ってみたい。
5月30日、南シナ海でイージス駆逐艦チャンフーン(CHUNG-HOON DDG 93)と多国間演習ノーブル・ウルヴァリンを実施。
6月06日 南シナ海で、原子力空母ルーズベルト(THEODORE ROOSEVELT CVN 71)、フランス海軍のブルターニュ(FS BRETAGNE D 655)(全長142m、満載排水量6,100t)とともに、軍事海上輸送司令部艦隊補給給油艦ビッグホーン(BIG HORN T-AO 198)(全長206.5m、満載排水量41,886t)から洋上給油を受ける。
6月06日 南シナ海で。右、原子力空母ルーズベルト、中央、給油艦ビッグホーン、左、仏フリゲート艦ブルターニュ(NAVY.MIL 2024年6月6日)
6月07日 南シナ海で、原子力空母ルーズベルト、フランス海軍のフリゲート艦ブルターニュ、イージス駆逐艦ダニエル・イノウエ(DANIEL INOUYE DDG 118)、同ラッセル(RUSSELL DDG 59)、同ハルゼー( HALSEY DDG 97)、ドック型揚陸艦ハーパーズフェリー(HARPERS FERRY LSD 49)と艦隊航行。
空母の艦載機は約72機、米イージス艦のミサイル搭載数は3隻で約280発。強力な攻撃力をもつ艦隊である。
6月18日 南シナ海で、イージス駆逐艦ラルフ・ジョンソンと共同作戦を実施。
手前、モントリオール(336)、奥がラルフ・ジョンソン(114)(NAVY.MIL 2024年6月18日)
6月29日 シンガポールで、モントリオールの艦長であるカナダ海軍のポール・マウントフォード中佐は、西太平洋兵站群/第73任務部隊(COMLOG WESTPAC/CTF 73)の司令官であるマーク・A・メルソン少将と打ち合わせ。
COMLOG WESTPAC/CTF 73は、「南シナ海でのパトロール、海軍演習への参加、自然災害への対応を促進するため」の部隊であるという。
7月29日、モントリオールを見送る海自隊員たち(「自衛艦隊」FBより)
7月に入ってからのモントリオールの行動のうち公開されているのは、28日の海自との訓練、30日の米海軍との訓練、そして31日の台湾海峡の通過である。
ラルフ・ジョンソンは7月上旬に横須賀に帰港し、下旬に再び出港した。
7月9日、横須賀港にもどって来たラルフ・ジョンソン(24.7.9 木元 撮影)
モントリオールの行動と直接の関係はないが、7月22日、23日には佐世保基地所属の補給艦「はまな」が、米海軍の油槽船バットランズ・トレーダー(載貨重量50,000t、全長183m)と洋上給油訓練を行った。
艦長の根本2佐は「米海軍油槽船から本艦に対する艦艇用燃料の洋上補給に関して演練し、海自補給艦の運用に係る効率性向上について確認することができました」と述べている。
5月末から7月までの経過が示すのは、米国−カナダ―フランス―オーストラリア―日本の間で、艦隊作戦行動の訓練と、それを支える洋上補給活動が、これまでにも増して拡大しているということだ。
(木元 茂夫)
8月4日、外洋から横須賀に戻ってきた補給艦「ときわ」(24.8.4 星野 撮影)
「ときわ」は8月6日午前から7日の朝にかけて、横浜港内にある民間燃料補給施設、大東タンクターミナル横浜油槽所5号岸壁に接岸して燃料補給を受けた。
洋上補給活動で燃料を大量に消費したのだろう。近年、「ときわ」など海自補給艦が横浜港のこの民間施設で燃料補給を受けるようになった(24.8.6 星野 撮影)
「ときわ」が停泊しているのが大東タンクターミナル5号岸壁。海を挟んで手前の左側が横浜ノースドック。
写真右側奥の矢印をつけたところに、もう一つの米軍基地、鶴見貯油施設が見える。ここからジェット燃料が横田基地に運ばれる(24.8.6 星野 撮影)
2024-8-7|HOME|