強襲揚陸艦ボクサー、横須賀寄港


8月17日13時20分過ぎ、横須賀沖に姿を現した強襲揚陸艦ボクサー(24.8.17 星野 撮影)


ボクサー(右)と沖どまりをしている海自の「空母」いずも(左)(24.8.17 星野 撮影)


横須賀基地の中に入って来たボクサー(24.8.17 星野 撮影)


バースに出船の向きで入るため、回頭をするボクサー(24.8.17 星野 撮影)


飛行甲板上には、MV-22オスプレイが4機と、UH-1Yヘリが3機並んでいる(24.8.17 星野 撮影)


バックをしながら12号バースに向かうボクサー(24.8.17 星野 撮影)


12号バースに接岸したボクサー(24.8.17 星野 撮影)

8月17日、強襲揚陸艦ボクサー(BOXER LHD 4)が横須賀基地の12号バースに入港した。

非常にゆっくりと、時間をかけた入港だった。
ボクサーが浦賀水道に入航したのは昼の12時25分頃だが、横須賀基地の12号バースに接岸した時には14時30分頃になっていた。
浦賀水道から約2時間かけてバースに接岸したことには、何か意味があったのだろうか。

ボクサーは、ワスプ級強襲揚陸艦の4番艦、サンディエゴを母港としている。
1995年の就役から30年近く経っているが、これまで横須賀に寄港した記録は無いようだ。佐世保への寄港はあるようだが。

7月半ば頃までボクサーは米国西海岸にいたようだ。
米海兵隊HPの記事などによると、本来であればボクサーは、4月に第15海兵遠征部隊(15th MEU: 15th Marine Expeditionary Unit)を載せて、インド太平洋地域での任務活動に向かう予定だったのだが、4月1日にサンディエゴを出港した直後、舵に損傷が見つかり、緊急修理を行わざるを得なくなったようだ。
その修理が7月前半までに終わり、さらに、米海軍協会ニュース(USNI NEWS)の記事によれば「甲板上でのハンドリング事故」のために壊れてしまったというMV-22オスプレイをクレーンで降ろしてから、インド太平洋地域での任務航海に旅立ったというわけだ。
任務航海出港直後での舵の損傷の発覚といい、(米海軍協会ニュースの記述によれば)「ハンドリングミス」でのオスプレイの損壊といい、ずいぶん大きな故障や事故を連続させる軍艦だ。

ボクサーは米国西海岸を出発後、7月23日にハワイに現れた。
米国政府の作成したリムパック2024HPの、演習参加艦船のリストにはボクサーは載っていないが、この7月23日にリムパック2024の統合任務部隊司令官が乗り込んで話をしている写真が米軍画像サイトDVIDSの同日付け記事に掲載されている。

短時間でハワイを出た後、7月24日には給油艦ペコス(PECOS T-AO 197)、25日にはニュージーランドの補給艦アオテアロア(HMNZS AOTEAROA  A11)と、2隻のリムパック2024参加艦から洋上補給を受け、太平洋を西に横断した。

この時点でボクサーは第15海兵遠征部隊の一部を乗せていて、第165中型ティルトローター飛行隊(VMM-165)のMV-22オスプレイ、第225海兵戦闘攻撃飛行隊(VMFA-225)のF-35B戦闘機などを搭載していた。

その後、8月8日には韓国のポハン沖に到着し、9日にはブサンに入港した。
韓国に到着した第15海兵遠征部隊は、韓国軍の海兵隊とともに上陸演習や、山岳戦、市街地での戦闘訓練などを行っているようだ。
ボクサーが運んだオスプレイやヘリも韓国で戦闘訓練を行い、また、韓国陸軍航空学校で陸軍航空学生へのオスプレイに関する説明なども行っているようだ。

第15海兵遠征部隊が韓国でそのような活動を行っているさなかに、かれらをひとまず韓国に残したまま、強襲揚陸艦ボクサーは横須賀にやって来たということのようだ。

8月17日に横須賀に入港したボクサーの甲板上には、4機のMV-22オスプレイと3機のUH-1Yヘリコプターが並んでいたが、それ以外のオスプレイやヘリは韓国に残り、活動していたということだろう。
また、第225海兵戦闘攻撃飛行隊のF-35B戦闘機も、8月17日に横須賀に入港したボクサーには載っていなかったが、米軍画像サイトDVIDSによれば8月13日に岩国基地に着陸している。

このように、乗船させていた海兵隊部隊はおそらく韓国に残したまま、艦載機も分散させた状態で、それでもボクサーがわざわざ横須賀にやって来た理由は、何だったのだろうか。不明だ。
敢えて推測するならば、今後に備えて横須賀基地への入港に慣熟するためという理由があったのだろうか。
それに加えて、母港とする艦以外の「空母」もごく「普通」に横須賀に入ることを人びとに知らしめ、慣れさせるという世論工作の側面もあるのだろうか。

ボクサーは8月21日の朝、横須賀を出港した。
8月23日の午前中には大隅海峡を西へと通過した。
引き続き東アジア、東南アジア周辺で活動を続けるのだろう。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


8月8日、韓国の沿岸部に到着したボクサーのウェルドック内で、LCACでの上陸演習の準備をする第15海兵遠征部隊
米軍画像サイトDVIDS記事「15th MEU Marines Arrive in Korea Through Ship-to-Shore Movements [Image 1 of 11]」より引用
https://www.dvidshub.net/image/8586614/15th-meu-marines-arrive-korea-through-ship-shore-movements


8月13日、岩国基地に飛来した第225海兵戦闘攻撃飛行隊のF-35B戦闘機。今回のボクサーの任務航海で艦載機になっている
米軍画像サイトDVIDS記事「15th MEU F-35 aircraft arrive at MCAS Iwakuni [Image 3 of 6]」より引用
https://www.dvidshub.net/image/8597455/15th-meu-f-35-aircraft-arrive-mcas-iwakuni


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