定期修理に入る原子力空母ワシントン、放射性廃棄物運搬船の横須賀到着は4月9日頃か


放射性廃棄物運搬船の募集とみられる、米連邦政府の業務公告サイトSAM.GOVに掲載された公告


公告には、20フィートコンテナを少なくとも6個、うちクラス7及びクラス8の危険物を4個、
横須賀の13号バースからピュージェット・サウンドまで運ぶ米国船籍の船の募集であること、
2025年4月9日から11日までがLAYDAYSで、チャーター期間は23日間であること
応募締切が2025年1月6日であることなどが書かれている。

昨年12月30日、米連邦政府の業務公告サイトSAM.GOVに、少なくとも6個の20フィートコンテナを横須賀基地13号バースから米国ワシントン州ブレマートンのピュージェットサウンド海軍造船所に運ぶ米国船籍の貨物船をチャーターするための募集公告「23-day Dry Cargo Time Charter」が掲載された。
6個のコンテナのうち4個は、クラス7及びクラス8の危険物(hazardous material)だという。クラス7の危険物とは放射性物質であり、クラス8は腐食性物質だ。

この公告には「原子力空母」を意味する言葉は書かれていないが、業務内容はまさに、原子力空母が横須賀基地で行う定期修理によって排出される放射性廃棄物などを、横須賀から米国本土に運ぶことを意味している。

募集公告によれば、今年の4月9日から4月11日までがLAYDAYS、つまり入港可能な期間で、チャーター期間は23日間だ。
つまり、この募集公告通りであるならば、4月9日から11日までの間には、放射性廃棄物運搬船が横須賀基地の13号バース、つまり原子力空母ジョージ・ワシントン(GEORGE WASHINGTON CVN 73)が停泊し定期修理を行う12号バースの隣にやって来るということだ。
LAYDAYSの数日前には、放射性廃棄物運搬船が東京湾内にやって来て待機している可能性も高い。

横須賀に原子力空母が配備されてから、毎年のように1月から春にかけて定期修理が行われてきた。
定期修理の際には動力装置の修理も行われ、それによって生じた放射性廃棄物を艦外に出して運搬船に積み込んで米国のピュージェットサウンド海軍造船所に運ぶ、という行為も繰り返されてきた。

ただし、昨年は原子力空母ロナルド・レーガン(RONALD REAGAN CVN 76)が米国に帰ることになっていたから、定期修理で排出された放射性廃棄物もレーガンの艦内に積んだままにされ、横須賀で艦外に出して運搬船に積み込むということは行わなかったようだ。
したがって、横須賀基地で放射性廃棄物が原子力空母の外に出されるのは、2年ぶりのことになると見られる。

しかし米軍は、1964年8月に日米両政府の協議の結果を取りまとめた覚書である「エード・メモワール」で、原子力艦船の動力装置の修理も、放射性廃棄物の艦外への搬出も日本国内では行わないと約束したはずだ。
にもかかわらず、その約束に違反する危険な行為を、米軍は毎年のように横須賀で繰り返してきた。そして今年も懲りずに行うというのだ。

だが、厚顔にも約束違反を毎年繰り返していたとしても、約束違反の危険な行為は約束違反の危険な行為であり、許されない行為であることが変わることは無い。
日本政府や地元自治体が約束違反を咎めずにひたすら従順に振舞い続けていることを良いことにして、約束を平然と踏みにじり、市民を危険に曝し続ける米軍の態度は決して許されるものではない。

ところで、今回の広告の募集締切日は1月6日であり、契約締結日は未定だ。
締切日のしばらく後に公示されるであろうAward Noticeによって、請負業者が発表されることになるのだろう。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


2023年4月20日、横須賀基地の12号バースの原子力空母ロナルド・レーガンから艦外に搬出され、クレーンで吊り下げられて
13号バースの放射性廃棄物運搬船SLNCヨークに運ばれる放射性廃棄物入りのコンテナ(23.4.20 星野 撮影)


2024年の年末、12号バースに停泊中の原子力空母ジョージ・ワシントン。年明けからの定期修理工事の準備が進んでいた(24.12.29 星野 撮影)


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