第7艦隊旗艦ブルーリッジ、82日間の作戦航海を終えて横須賀に帰港

オーストラリアのシドニーで「艦隊司令官円卓会議(FCRT)」を開催


第7艦隊旗艦ブルーリッジ(25.6.29 木元 撮影)

4月3日に横須賀を出港した第7艦隊旗艦ブルーリッジ(LCC19)は、82日間の作戦航海を終えて6月23日に横須賀に帰港した。主な航跡は下記の通り。

4月3日 横須賀基地出港
4月16日〜19日 オーストラリア、ケアンズ港
4月26日〜5月1日 ニューカレドニア ヌメア港
5月5日〜9日 フィージー スパ港
5月16日〜20日 ニュージーランド ウェリントン港
5月26日〜31日 オーストラリア ケアンズ港
6月1日〜13日 不明
6月14日〜17日 グアム アプラ港
6月22日 相模湾
6月23日 横須賀基地帰港

第7艦隊旗艦ブルーリッジは、オーストラリアに2回寄港し、フランス領のニューカレドニア、フィジー、そして、ニュージーランドにも寄港した。

第7艦隊HPの記事によれば、6月23日に横須賀に帰港した際、米国第7艦隊司令官のフレッド・カッチャー中将は、「私たちの哨戒活動により、第7艦隊は西太平洋におけるアメリカの前方展開海軍部隊を率い、海上から部隊の指揮統制を行うとともに、旗艦であるUSSブルーリッジならではの独自の方法で同盟国およびパートナー諸国と連携することが可能になります」と発言した。
また、同じ記事によれば、「寄港中、第7艦隊とブルーリッジの指揮官は、各国要人や地元の指導者と会談し、作戦即応性の向上、将来の軍事力の向上、そして地域における関係強化の方法について協議した。また、5月1日には、珊瑚海でフランス海軍と共に「クロワ・デュ・シュッド」演習に参加した」(第7艦隊HP、2025年6月23日記事「Blue Ridge Returns to Japan After Summer Patrol」より引用)。

一方、5月から朝鮮(DPRK)の「瀬どり監視活動」を行っていたオーストラリア海軍のイージス艦シドニー(DDG42)は6月1日、東シナ海で海自最新鋭のイージス艦「はぐろ」と共同訓練を行ったあと、6月3日に横須賀に寄港した。

6月11日頃には、オーストラリアのシドニーで、「艦隊司令官円卓会議(FCRT)」が開催され、自衛艦隊司令官の大町克志海将も参加した。
この会議には、米国とオーストラリア、日本に加えて、カナダ、ニュージーランド、フィリピン、韓国の海軍代表団が参加し、新たに英国とフランスの代表団がオブザーバーとして参加した。
大町海将は「今や、どの国も一国では自国の安全を守ることはできません。こうした中で、普遍的価値と戦略的価値を共有する同盟国、同志国間の協力、連携を深めていくことは不可欠です」と発言したことを自衛艦隊司令部は報じている。

しかし、現実の行動として、12日に横須賀配備の護衛艦「たかなみ」が、海上自衛隊として3度目の台湾海峡通過を強行した。「たかなみ」は通過後の14日には南シナ海でフィリピン海軍のフリゲート艦ミゲル・マルバー(FFG-06 韓国現代重工製造、4月8日にスービック基地で就役式典を実施した新鋭艦)と共同訓練を実施。続いて19日には、横須賀に何度も寄港したことのある英国海軍の哨戒艦スペイが台湾海峡を通過した。

5月31日にシンガポールで開催された日米豪比防衛相会談、その共同声明が指摘するところは、極めて具体的である。
「 閣僚は、フィリピンの防衛上の優先事項及び自由で開かれたインド太平洋を支えるため、インフラ投資を含む安全保障協力上の取組を整合することの重要性を再確認した。これとともに、ワレス空軍基地における日本製警戒管制レーダーの設置、バサ航空基地司令部及び統制融合センターにおける米国による航空領域センサーの継続的構築及び統合、豪州によるフィリピンにおける成長中の防衛インフラの支援のための取組は、南シナ海におけるフィリピン国軍による航空状況把握の向上に総じて寄与している。閣僚は、航空状況把握、海洋状況把握及びその他の優先事項をより良く支援するため、安全保障協力を一層調和させることにコミットした」

中国、フィリピン、そして朝鮮半島を睨みながら、日米豪比そしてNATO諸国の連携はこれからも強化されそうである。

(木元 茂夫)




「艦隊司令官円卓会議(FCRT)」 自衛艦隊司令部HPより


今年6月3日から14日にかけて海自横須賀基地に寄港したオーストラリアのイージス艦シドニー(25.6.10 星野 撮影)


2025-7-22|HOME|