攻撃型原潜と海自潜水艦、房総沖で合同演習
米軍画像サイトDVIDS2025年7月12日付け記事「USS Santa Fe (SSN 763) and JMSDF submarine conduct a bilateral exercise [Image 1 of 2]」より引用。
7月12日に合同演習を行う原潜サンタフェ(向こう側)と海自潜水艦(手前)。同記事には、場所は「太平洋」としか書かれていないが、海自プレスリリースによれば房総沖。
https://www.dvidshub.net/image/9182059/uss-santa-fe-ssn-763-and-jmsdf-submarine-conduct-bilateral-exercise
米海軍第7艦隊HPや海上自衛隊のプレスリリースなどによれば、7月11日から12日にかけて房総沖で、ロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦サンタフェ(SANTA FE SSN 763)と、海上自衛隊の潜水艦(艦名未公表)が共同演習を行った。
海自プレスリリースによれば、SH-60Kヘリコプターも演習に参加したという。ただし、米軍のHPには海自ヘリの参加は触れられていない。
演習に参加した海上自衛隊の潜水艦の名前や所属部隊は明らかにされていないが、米軍画像サイトDVIDSなどに掲載された写真からみると、「おやしお型潜水艦」のようだ。
今回の演習に参加した原潜サンタフェは、7月1日から7日まで横須賀基地に寄港していた。
寄港理由を外務省は「休養・補給・維持」と発表していたが、実際には、少なくとも、近海の房総沖での日米潜水艦共同演習を視野に入れた横須賀寄港だったはずだ。
第7艦隊HPの7月17日付け記事「USS Santa Fe (SSN 763) and JMSDF submarine conduct a bilateral exercise」によれば、この演習には「SUBEX 25-1」(Submarine Exercise 25-1)という名前が付けられている。
ところが、同じ演習が海上自衛隊海上幕僚監部の7月16日付けプレスリリースでは、「対潜特別訓練(日米共同訓練)」という名前になっている。
つまり、海上自衛隊の命名ではこの演習が「対潜」演習であることが強調されているが、米軍側は「対潜」演習ということには触ず、あくまでも潜水艦の演習であることを強調した命名をしている。
この違いは一体何なのだろうか。
ところで、米軍がこの演習につけた名前である「SUBEX」という言葉を、米軍画像サイトDVIDSで検索してみても、あるいはインターネットで検索してみても、ヒットする演習は今回の7月の日米共同潜水艦演習SUBEX 25-1だけのようだ。
今回の日米共同潜水艦演習を紹介する第7艦隊HPの前掲記事には、米海軍第7潜水艦群司令官の、「This submarine exercise is just one of dozens of operations our combined forces are planning or executing day in and day out. 」(この潜水艦演習は、我々(日米)の連合部隊が日々計画あるいは実行している数十もの作戦のうちの一つに過ぎません)と豪語するコメントが紹介されているが、米攻撃型原潜と日本の海自潜水艦による共同演習に「SUBEX」という名称がつけられたのは、今回が最初だったのかもしれない。
そうであるならば、これも「日米軍事一体化」の深まりを示す事例と言えるだろう。
とはいえもちろん、検索してもヒットしないだけで、これまでも同様の名称で共同演習が行われてきているのかもしれないし、そもそも攻撃型原子力潜水艦と海自潜水艦の日本近海での共同演習がこれまでどれだけ行われてきたのか、あるいは「初めて」だったのかどうかも分からないが。
上記の第7艦隊HPの記事は、「Both submarine forces continue to work together and progress every day to seamlessly interoperate with each other.」((日米)両潜水艦部隊は、シームレスな相互運用性を実現するために、引き続き協力し、日々進歩を続けています)と述べている。
また、海上幕僚監部の7月16日付けプレスリリースも、今回の共同演習の目的の1つとして「米海軍との相互運用性の向上」を挙げている。
しかし、世界各地で戦争を起こし、「武力による威嚇」を行い続けてきた米軍の原子力潜水艦と、自衛隊の潜水艦が「シームレスな相互運用性」を高めてしまうことは極めて危険なことであり、そもそも憲法上許されないことであるはずだ。
(RIMPEACE編集部 星野 潔)
7月4日、横須賀基地の12号バースに停泊中の原潜サンタフェのセイル(司令塔)(25.7.4 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)
7月9日、米海軍横須賀基地の1号バースに停泊する、2隻の海上自衛隊の「おやしお型潜水艦」。このバースは普段から海自潜水艦が係留される場所になっている。
演習期間中には2隻ともこの場所から姿を消していた。今回の日米潜水艦共同演習との関連は不明。(25.7.9 星野 撮影)
2025-8-11|HOME|