豪イージス駆逐艦、海自横須賀基地に寄港


9月22日、横須賀基地に入ってきたオーストラリア駆逐艦ブリスベン(25.9.19 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)


ブリスベンの艦上では登舷礼が行われていた(25.9.19 木元 茂夫 撮影)


逸見岸壁に向かうブリスベン(25.9.19 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)


登舷礼が続く(25.9.19 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)


ブリスベンの後ろから海自護衛艦「くまの」が入港してきた。入港直前にもブリスベンと共同訓練を行っていた(25.9.19 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)



逸見岸壁に接岸するブリスベン。手前は海自護衛艦「おおなみ」(25.9.19 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)


岸壁に接岸したブリスベンの艦首には、大きなオーストラリアの国旗が掲げられた(25.9.19 木元 茂夫 撮影)


艦尾にはオーストラリア海軍旗が掲げられている(25.9.19 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)

9月19日、オーストラリア海軍のイージス駆逐艦ブリスベン(HMAS BRISBANE DDG 41)が海上自衛隊横須賀基地に入港し、逸見岸壁に接岸した。

ブリスベンは9月2日にフィリピンのスービックを出港した後、9月6日にカナダのフリゲート艦ケベック(HMCS VILLE DE QUEBEC FFH 332)とともに台湾海峡を通過している。
台湾海峡通過後は、海上自衛隊を含む多国間の軍事演習を立て続けに行った。

海上自衛隊の発表によると、まず9月9日から14日にかけて、東シナ海から西太平洋にかけての海域で海上自衛隊とイギリス海軍、イギリス空軍、米海軍、カナダ海軍及びノルウェー海軍とともに共同訓練を行った。この訓練には、オーストラリアの駆逐艦ブリスベンの他、海上自衛隊の「かが」及び「あけぼの」、英海軍の空母プリンス・オブ・ウェールズHMS PRINCE OF WALES R 09)、駆逐艦ドーントレス(HMS DAUNTLESS D 33)、フリゲート艦リッチモンド(HMS RICHMOND F 239)、米海軍の駆逐艦ヒギンズ(HIGGINS DDG 76)、給油艦ラパハノック(RAPPAHANNOCK T-AO 204)、カナダ海軍のフリゲート艦ケベック、ノルウェー海軍のフリゲート艦ロアール・アムンゼン(KNM ROALD AMUNDSEN F 311)が参加した。

次に、9月14日から16日にかけて西太平洋で、海上自衛隊の「かが」と日豪共同訓練「日豪トライデント25-2」を行った。

さらに、9月19日の入港当日にも関東南方の海域で、海上自衛隊の護衛艦「くまの」と日豪共同訓練「日豪トライデント25-3」を行ったことを防衛省は発表している。
「くまの」はブリスベンをエスコートして横須賀に入ってきた護衛艦であり、オーストラリアが次期フリゲート艦として選定した「もがみ型」護衛艦だ。

このようにブリスベンは、米国を支える「多国籍同盟軍」の一員として台湾海峡や日本列島周辺で対中威嚇行動を繰り返して横須賀にやって来たというわけだ。

ブリスベンは横須賀で「メンテナンス」を行うといわれている。
つまり、9月5日に東京で行われた「日豪2プラス2」の共同声明に盛り込まれた、「地域プレゼンス派遣の一環として、豪海軍艦艇「ブリスベン」が日本の港湾において初めてのメンテナンス支援を受ける可能性を模索する計画」(外務省仮訳)を実行するために横須賀に入港したのだ。

海自逸見岸壁でそれを行うのだろうか。それとも、別の場所に移動するのだろうか。
どれくらいの期間かけてそれを行うのだろうか。
そうしたことは発表されておらず、不明だ。

今回、ブリスベンが入港してきたタイミングで、横須賀基地では花火が上げられた。
このようなことは初めてではないか。少なくとも極めて異例なことだ。
オーストラリアの軍艦初の「メンテナンス入港」を「歓迎」してのことだろうか。
それに加えて「もがみ型」の選定という「大型商談」が成立し、自分たちの天下り先でもある日本の兵器企業を儲けさせることができそうだということ、そして、殺傷兵器の実質的な本格輸出が実現することを「祝って」のことだろうか。

実際には何が理由で花火打ち上げにまで至ったのかは不明だが、どんな理由であれ、あまりに浮かれすぎ、はしゃぎすぎ、としか言いようがない。
政権が自衛隊を聖域化し。青天井の予算をつけまくって軍拡に前のめりになるなかで、防衛省制服組幹部は「この世の春」のような気分にひたっているのだろうか。

ところで、ブリスベンは2021年の秋にも横須賀基地に2度にわたって入港している。
まず2021年の10月29日から11月4日にかけて、米軍基地の15号バース(6号ドックの中にある)に入港した。次に、11月中旬にも、今度は海自横須賀基地に寄港している。
10月29日に米軍基地に入港した時のブリスベンのマストには、国連旗がひるがえっていた。朝鮮国連軍の艦船という資格で入港したことをアピールしたのだろう。

今回、海上自衛隊逸見岸壁に接岸したブリスベンのマストには、国連旗は見当たらない。
では、今回は、どのような法的資格で入港したのだろうか。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


海自横須賀基地に滞在を続けているブリスベン(25.9.21 星野 撮影)


2025-9-24|HOME|