イラン攻撃、横須賀母港艦もアラビア海に展開の情報


3月1日、横須賀基地の正面ゲート前で米軍のイラン攻撃に抗議する市民(26.3.1 星野 撮影)


真ん中の、こちらから見ると後ろ向きに停泊している駆逐艦がジョン・フィン。2025年12月28日の横須賀基地6号バース。
1月9日に出港し、台湾海峡を通過しフィリピンやシンガポールに立ち寄ったあと、2月にインド洋に入った(25.12.28 星野 撮影)


駆逐艦ヒギンズ。2月5日に横須賀を出港し、グアムに立ち寄ったあと2月後半にインド洋に入った(26.1.25 星野 撮影)


駆逐艦ミリウス(69番の軍艦)。2月9日に出港し、シンガポールに立ち寄ったあと2月後半にインド洋に入った(26.1.25 星野 撮影)

2月 28 日、米軍とイスラエル軍はイランに対し先制攻撃を行い、戦争を開始した。
明白に国際法に違反する暴挙であり、決して許されない行為だ。
3月1日には、横須賀基地正面ゲート前に多くの市民が集まり、抗議の声を上げた。

米軍とイスラエル軍が攻撃を開始した2月28日の前後に、横須賀を母港とする複数のイージス駆逐艦がインド洋、さらにはアラビア海に派遣されていたという情報がある。
この情報が間違っていなければ、法の支配を暴力で覆し、多くの人びとの命と暮らしを破壊する米軍の今回の攻撃に、横須賀を母港とする米艦が参加している可能性がある、ということだ。

まず、「U.S. Carriers.net」やAIS(船舶自動識別装置)によれば、2月末の時点で、ミリウス(MILIUS DDG 69)、ヒギンズ(HIGGINS DDG 76)、ジョン・フィン(JOHN FINN DDG 113)の3隻がインド洋やアラビア海方面に派遣されている。

ミリウスは2月25日に、ヒギンズは2月26日に、ジョン・フィンは2月5日にそれぞれディエゴガルシアに寄港したようだ。
ディエゴガルシアはインド洋の真ん中にあるイギリスの植民地の島。もともと住んでいた人びとを無理矢理追い出して、米軍が中東での軍事活動の拠点として使用している島だ。

また、米海軍協会(United States Naval Institute)の「USNI News」が報じている3月2日時点での米艦隊の動向(USNI News Fleet and Marine Tracker: March 2, 2026)によると、アラビア海には原子力空母エイブラハム・リンカーン(ABRAHAM LINCOLN CVN 72)とその空母打撃群「Carrier Strike Group 3」に所属する第21駆逐艦隊(Destroyer Squadron 21)のほかに、6隻の米駆逐艦が独立して展開している。
その6隻の中に、ジョン・フィンとミリウスも含まれている。
つまり、USNI Newsによれば、ジョン・フィンとミリウスは、3月2日の時点においてアラビア海で活動しているということだ。

USNI Newsが報じる艦船の動向の情報は、後から検証すると、実際に活動していた時期とUSNI Newsが報じた当該の活動の期間との間にズレがあると考えられる場合も時にはあるので、まだ断定はできないが、横須賀を母港とする駆逐艦が、戦争が開始された時期にアラビア海に展開していた可能性は非常に高い。

イージス駆逐艦は、96本ものミサイル垂直発射管(VLS)を持つ「動くミサイル発射基地」だ。空母の護衛艦として使われるだけではなく、ミサイル攻撃のために独立して使われることも多い。

たとえばイラク戦争は、横須賀を母港とするイージス巡洋艦から発射されたトマホークミサイルによる先制攻撃で始まった。イージス巡洋艦は122本のVLSを装備している。
今回の戦争はどうだったのだろうか。

USNI Newsに3月2日付けで掲載された記事「イラン海軍が『エピック・フューリー作戦』の攻撃における主要な標的だ(Iranian Naval Forces are Major Target in Operation Epic Fury Strikes)」には、今回の作戦における「海上での最初の(米国の)攻撃は、米海軍が発射したトマホークだった」という統合参謀本部議長ダン・ケイン大将のコメントが引用されている。
つまり今回の戦争も、トマホークの発射で始まったのだ。少なくとも海上からの先制攻撃に関しては。
そして確かに、米軍画像サイトDVIDSやUSNI Newsには、2月28日に対地攻撃トマホークミサイルを発射する複数のイージス駆逐艦の写真が掲載されている。

アラビア海に派遣されている横須賀母港イージス艦も、今回の戦争でトマホークをイランに向けて撃っているのだろうか。

アラビア海の横須賀母港艦が、攻撃で具体的にどのような役割を担っているのかはまだ明らかされていない。
しかし、少なくともこの時期にアラビア海に派遣されたイージス艦が、戦争とまったく関係なく過ごしているということは考えがたい。トマホークを撃っているかどうかは別としても。

そして少なくとも今回のジョン・フィンやミリウス、ヒギンズのインド洋派遣は、横須賀が米軍の中東での作戦の出撃拠点として使われていることを改めて浮き彫りにした、ということは言えるだろう。

米軍が日本国内の基地を使うことが許されているのは、日米安保条約第6条に「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。(以下略)」という条文があるからだ。

つまり、安保条約によれば、日本の「施設及び区域」を使用する米軍の艦船、すなわち日本の基地を母港とする米軍艦船に許される軍事活動の範囲は、「日本国」及び「極東」に限られているのだ。
にもかかわらず米軍は安保条約の規定を無視し、日本の基地を中東攻撃の拠点として使用している。
そして今回の攻撃でも示されたように、中東で暮らす人びと一人ひとりの生命や暮らしの営みの重みを無視して、攻撃と破壊を繰り返してきた。

この実態から目を背け続け、安保条約すら踏みにじり日本を拠点として中東を攻撃する米軍の行動を無批判に許容し続けるならば、それは出撃拠点であることを日本の人びとが受け入れ続けていることを意味し、日本に暮らす人びと自身が加害者になることをも意味することになるだろう。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)



2月28日、イランに向けて対地攻撃トマホークミサイルを発射する、イージス駆逐艦フランク・E・ピーターセン・ジュニア。
パールハーバーを母港とするピーターセン・ジュニアは、今回、空母エイブラハム・リンカーンの随伴艦を務めているとみられる。
米軍画像サイトDVIDS記事「U.S. Forces Launch Operation Epic Fury [Image 1 of 5]」より引用
https://www.dvidshub.net/image/9542620/us-forces-launch-operation-epic-fury


2月28日、イランに向けてトマホークを撃つイージス駆逐艦スプルーアンス。USNI Newsによると同艦は、リンカーン打撃群の第21駆逐戦隊の一員として派遣されている。
米軍画像サイトDVIDS記事「USS Spruance Supports Operation Epic Fury [Image 1 of 3]」より引用。
https://www.dvidshub.net/image/9542100/uss-spruance-supports-operation-epic-fury


横須賀基地の浦郷弾薬庫に野積みされている米海軍のミサイルキャニスター(25.11.30 星野 撮影)


キャニスターに「Rockets Liquid Fueled」(液体燃料ロケット)と書かれていることが辛うじて読み取れる。
米海軍の配備している液体燃料ミサイルは、トマホークだけだ。
横須賀でイージス艦に積み込まれたトマホークミサイルが、イランの人びとの頭上に降り注ぐことになるのだろうか(25.11.30 星野 撮影)


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