イージス駆逐艦デューイの航跡

拡大する日米豪比の軍事協力


多国間海上協力活動を実施中の、フィリピン、オーストラリア、米国の艦艇。
手前から、フィリピン沿岸警備隊の哨戒艦テレサ・マグバヌア(MRRV 9701)、オーストラリア海軍アンザック級フリゲート艦トゥーンバ(FFH 156)、
米海軍のデューイ(DDG 105)、フィリピン海軍ミサイルフリゲート艦BRPディエゴ・シラン(FFG 07)。
フィリピン排他的経済水域における海上協力活動(MCA)を実施中。
(US.NAVY:米海軍公式HPより引用)

 1月16日に横須賀を出港した駆逐艦デューイ(DEWEY DDG 105)(満載排水量9880トン、全長155m)は、日本列島を南から北へ移動した。
 1月21日に沖縄のホワイト・ビーチに寄港、29日には北海道の釧路に寄港、2月3日に一度横須賀にもどり、6日には小樽に寄港し4日間停泊、13日には佐世保に寄港して給油。そして、フィリピンに向かい、2月15日にルソン海峡を通過した。


フィリピン・ザンバレス州の位置。赤く塗りつぶされたところ。
(Milenioscuro氏作成/Wikimedia Commons)
(Zambales in Philippines.svg/Milenioscuro/CC BY-SA 4.0)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Zambales_in_Philippines.svg

 2月16日、デューイはフィリピン・ルソン島南部のザンバレス州の沖合でオーストラリア海軍のフリゲート艦トゥーンバ(HMAS TOOWOOMBA FFH 156)(満載排水量3600トン、全長118m)、フィリピン海軍のミサイルフリゲート艦ディエゴ・シラン(BRP DIEGO SILANG FFG 07)(満載排水量3200トン、全長118m)と合流した。
ディエゴ・シランは韓国・現代重工業が建造し、2025年12月7日に就役したばかりの新鋭艦である。
フィリピン沿岸警備隊のテレサ・マグバヌア(TERESA MAGBANUA MRRV 9701)(総トン数2260トン、全長97m)も参加した。これは三菱重工業下関造船所が建造した巡視船で、原型は海上保安庁の「くにがみ型巡視船」である。22年5月6日に就役した。これも新鋭艦である。

「多国間海上協力活動」は2月16日の1日だけだったのか、数日行われたのか、はっきりしない。デューイは2月21日から22日までスービック湾に停泊した。
 この日、航空自衛隊は、「日本海上及び東シナ海上の空域」で日米共同訓練を行った。
空自の第7航空団(茨城県・百里基地)、第8航空団(福岡県・築城基地)、第9航空団(沖縄県・那覇基地)の戦闘機が、米空軍のB-52戦略爆撃機と共同訓練を行った。
この訓練、何年も前から繰り返し実施されているが、通常B-52の参加は1機か2機、それが今回は4機の参加である。

 2月24日には「日米比共同訓練」をルソン島北部に場所を移して実施したと統合幕僚監部は発表している。自衛隊は艦艇を派遣せず、哨戒機P-3Cのみが参加した。
米海軍はデューイに加えて、哨戒機P-8Aを参加させた。おそらくは日米中の潜水艦が活発に動いているフィリピンと台湾海峡の間のバシー海峡を舞台にした対潜水艦戦訓練であろう。はっきりそう書くとあまりに刺激的だから、訓練場所も「ルソン島北」と曖昧な書き方をしている。
フィリピン海軍はディエゴ・シランに変えて、フリゲート艦アントニオ・ルナ(BRP ANTONIO LUNA FF 151)(満載排水量2600トン、全長108m)を参加させた。これも韓国の現代重工業の製造である。
さらに、軽戦闘機FA-50PHも参加している。韓国航空宇宙産業(KAI)が、米ロッキード・マーチンと共同開発した機体である。フィリピン国防省は、2025年6月3日に12機を追加輸入する契約を締結した。12月にはこれまでに納品された11機の性能改良事業契約も結ばれている。

 この訓練終了後、デューイは再びスービック湾に入港したが短時間で出港、南シナ海に向かった。3月2日、給油艦ジョン・ルイス(T-AO 205、総トン数32000トン、全長227m )から洋上補給を受けた。3月6日から7日まで沖縄・ホワイトビーチに接岸。3月9日に横須賀の錨地に投錨し、弾薬を降ろした。3月13日、2か月間の哨戒を終え、横須賀基地にもどった。

 しかし、日米豪の共同訓練はまだ続いていた。3月9日からは24日までグァム島のアンダーセン空軍基地で「シードラゴン2026」と名付けられた「米海軍主催固定翼哨戒機多国間共同訓練」が実施された。
「対潜水艦戦の多国間共同訓練」と自衛艦隊司令部は発表した。米海軍は対潜哨戒機のP-8A2機、オーストラリア空軍もP-8A2機、ニュージーランド空軍はP-8A1機、インド海軍はP-8I1機、海自はP-1 1機が参加した。競技会の要素ももった潜水艦探知訓練である。

 3月26日からは「カカドゥ2026」がオーストラリアのシドニー港などで開催された。
ルソン島での訓練に参加したフィリピン海軍のディエゴ・シランも参加。フィリピン艦艇のオーストラリア入港は史上初であるという。インドやマレーシアの艦艇も参加した。重視されたのは洋上補給訓練である。日米豪比の連携は、2月から3月にかけての連続した訓練によって、さらに深まったと言える。

(木元 茂夫)




シードラゴン2026 グァム島アンダーセン空軍基地。左端はP-1哨戒機。
オーストラリア国防省HPより引用


横須賀にもどってきたデューイ(26.3.26 木元 撮影)


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