イラン攻撃開始後、横須賀基地の貯油施設からインド洋に燃料を運んだタンカー


3月8日、グアム島から横須賀基地沖の錨地にやって来たSLハワイ。軍事海上輸送司令部(MSC)がチャーターしているタンカーだ(26.3.8 星野 撮影)


向かって左上のタンカーが、SLハワイ(26.3.8 星野 撮影)


3月11日になっても同じ場所に居座っていたSLハワイ。この翌日に、横須賀基地の米海軍貯油施設である吾妻島に接岸した(26.3.11 星野 撮影)

米軍の今回のイラン攻撃に複数の横須賀母港艦が参加していることは既にこのHPに書いた通りだが、攻撃開始後、少なくとも2隻のタンカーが横須賀基地の貯油施設に接岸したあとインド洋に行き、さらにそのうちの少なくとも1隻がディエゴガルシア島に行ったらしいことがAIS(船舶自動識別装置)の情報で分かった。

米軍のイラン攻撃開始後、横須賀基地の貯油施設に接岸したあとにインド洋に向かった1隻目のタンカーは、SLハワイ(SL HAWAII)だ。
SLハワイは軍事海上輸送司令部(MSC: MILITARY SEALIFT COMMAND)がチャーターしている全長約183m、50118 載貨重量トン(DWT)のタンカーだ。

SLハワイは3月3日にグアムを出港し、同月8日に横須賀基地沖の錨地に到着した。
その後、3月12日から14日にかけて吾妻島の米海軍貯油施設に接岸した。
韓国の石油基地から燃料を運んでくるタンカー以外の艦船の吾妻島への接岸は、この貯油施設に備蓄されている燃料を積み込むための接岸とみることができる。

3月14日に吾妻島を離岸したSLハワイは、翌15日の夕方まで横須賀基地沖の錨地に滞在したあと、東京湾を出て南西方面へと進路をとった。

AISの情報によればSLハワイは3月24日にシンガポールに到着し、同月27日頃に同地を出港してマラッカ海峡を北上しインド洋に入った。
その後、インド洋をディエゴガルシア島の方向に航行を続けている途中でSLハワイはAISの信号の発信を止め、しばらく消息不明になった。
しかし、発信が止められる直前まで、AISを利用した船舶位置情報アプリのマリントラフィックには、SLハワイの目的地がディエゴガルシア島であることが表示されていて、到着予定時刻は4月3日12時となっていた。

SLハワイのAISの信号が復活したのは4月14日。この時、SLハワイはインド洋から戻ってきてマラッカ海峡に入航しようとしているところだった。
その後、SLハワイはフィリピンのスービックに4月22日に入港している。さらに26日にスービックを出港し、29日にシンガポールに到着している。

以上の動きからみて、SLハワイは今回、横須賀からディエゴガルシア島に燃料を運んだものと考えて間違いないだろう。

米軍のイラン攻撃開始後に横須賀基地の貯油施設からディエゴガルシア島に向かったとみられるタンカーの2隻目は、エバーグレース・トレーダー(EVERGLADES TRADER)だ。
このタンカーもMSCが燃料輸送にチャーターしている、全長183mの、SLハワイとほぼ同サイズのパナマックスタンカーだ。

エバーグレース・トレーダーは3月31日に横須賀基地沖の錨地に到着し、4月5日から6日にかけて吾妻島に接岸した。

このタンカーは、3月末に横須賀にやって来る前、3月17日から3月19日にかけても横須賀の吾妻島に寄港していたのだが、その後、AISによれば3月26日から28日にかけて韓国の光陽に寄港していたようだ。

AISの情報によれば、エバーグレース・トレーダーは4月6日の横須賀出港後、4月9日から10日にかけて佐世保に立ち寄り、4月18日から20日にかけてシンガポールに寄港したあと、4月22日にマラッカ海峡を抜けてインド洋に入った。
インド洋に入ったあと、このタンカーもAISの信号の発信を止めたようで、5月1日の昼の時点で消息は不明だ。

今のところは、エバーグレース・トレーダーがディエゴガルシア島に向かっているとまでは断言できない。だが、米海軍MSCがチャーターしているこのタンカーに、ディエゴガルシア島以外の目的地がインド洋にあるのだろうか。

また、エバーグレース・トレーダーがインド洋へと運んでいる燃料が横須賀で燃積み込んだものなのかは、分からない。

とはいえ、既に述べたように1隻目のタンカーのSLハワイが横須賀基地の貯油施設で燃料を積み込んでディエゴガルシア島に行ったことは、確かなようだ。

ディエゴガルシアは、米軍が中東での軍事活動の拠点としているイギリスの植民地の島だ。今回のイラン攻撃の前進拠点としても使用されているものと考えられる。

その基地の島に、はるばる横須賀から燃料が運び込んだとするならば、横須賀基地は米軍の国際法違反のイラン攻撃の出撃拠点にされているのみならず、補給の拠点にもされているということになる。

つまり、日米安保条約第6条の「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される」という規定を米軍は全く無視して、中東を攻撃するために日本の基地を使用しているということを、今回のタンカーの動きは改めて示したということになる。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


左側のタンカーが、横須賀基地沖の錨地で待機するエバーグレース・トレーダー(26.4.3 星野 撮影)


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