第7艦隊旗艦ブルーリッジ、ドック入り

横須賀基地の6号ドックに入っている揚陸指揮艦ブルーリッジ。入渠したのは8月6日だ(26.8.16 星野 撮影)

ドック入り前、横須賀基地の9号バースに停泊していたブルーリッジ(26.7.26 星野 撮影)
8月6日、第7艦隊旗艦の揚陸指揮艦ブルーリッジ(BLUE RIDGE LCC 19)が普段「定位置」になっている横須賀基地の9号バースから移動して、同基地の6号ドックに入渠した。
1970年11月に就役した実質的には米海軍の「最古」の現役艦であるブルーリッジがドックに入るのは、同じ横須賀基地の6号ドックに2016年6月から18年1月まで入渠していた時以来のことだ。
2016年の入渠は、長期メンテナンス整備(E-DSRA:Extended Dry-Dock Selected Restricted Availability)でのドック入りだった。この時ブルーリッジは、大規模な構造及びシステムの改修工事を行い、運用寿命を20年以上伸ばしたとされる(Expeditionary Strike Group SEVENホームページ、2018年1月20日付け記事「U.S. Navy’s Oldest Operational Ship Completes Dry Dock Maintenance」)。
ブルーリッジはその後、2021年4月から22年12月までにかけても、乾ドックには入らずに9号バースに接岸したまま長期間のメンテナンス整備(E-SRA:Extended Selected Restricted Availability)を行っている。
今回、ブルーリッジが長期整備工事を行うことになるならば、それ以来のことになる。
もちろん、今回のドック入りが長期にわたるものになるかどうかは今のところ不明だが。
ブルーリッジは今年3月9日から4月23日まで、約1ヶ月半に及ぶ任務航海に従事していた。
この任務航海でブルーリッジは、フィリピンのマニラ・サウス港やタイのレムチャバン港、シンガポールのチャンギ海軍基地、沖縄のホワイトビーチに寄港した。
また、他の米艦やオーストラリアのフリゲート艦、フィリピンの沿岸警備隊の巡視船と写真撮影訓練(PHOTOEX)を行ったり、海上自衛隊の護衛艦「あさひ」と南シナ海で共同訓練を行ったりもしていた。
4月23日の横須賀帰港後、外から見た限りでは、どこかが故障している様子などは窺えなかった。
既に就役してから56年になろうとしているブルーリッジだが、米軍は同艦を2039年まで現役で使い続ける予定だという(星条旗新聞HP、2023年8月18日付け記事)。
現在もこの予定が維持されているとするならば、ブルーリッジは今後も数年おきにメンテナンス工事を繰り返していくのだろう。
ところで、横須賀基地でブルーリッジの整備工事を担うのは、「海軍艦船修理廠及び日本地区造修統括本部」(SRF-JRMC)に属する「海軍艦船修理廠」 (SRF)だ。
「海軍海上システム・コマンド(NAVSEA)によると、SRF-JRMCには120名の軍人、325名の軍属(文民職員)、および約2,500名の日本人従業員が勤務して」おり、米軍にとって海外最大級の艦船修理施設だ(USNI News、2026年6月4日付け記事「Leaders of U.S. Navy’s Ship Maintenance Facility in Japan Removed from Command」より引用)。
原子力艦船の原子炉関連部分の修理能力(権限)は、持たないことになっているはずだが、それ以外の部分や艦船の修理を行う、米軍にとってきわめて重要な施設だ
このSRF-JRMCにかんして、今年、気になる報道があった。
今年6月、米海軍はSRF-JRMCの司令官、副司令官、最先任上級曹長のトップ3人の幹部の解任を発表したのだ。
SRF-JRMCの幹部の解任は、最近2年足らずの間に2度目となる。
解任の理由として米海軍は「指揮能力に対する信頼の喪失」を挙げているが、星条旗新聞の記事によれば、これは米海軍が上級幹部を解任する際に用いる定型的な表現だ。
今年6月の解任の20ヶ月前に前任の司令官や副司令官が解任された際にも、米海軍は「指揮能力に対する信頼の喪失」を理由とした。
他方、USNI Newsの記事は、今回の解任について「この決定に詳しい情報筋は、解任の理由は業務遂行能力ではなく「行動(素行)」にあると述べたが、それ以上の詳細については明らかにしなかった」と説明している。
その後、この解任の件についての続報は特に無いようだ。
しかし、2年足らずの間に2度もトップが解任された背景に何があるのか、気になるところだ。
SRF-JRMCで何が起きていたのだろうか。
解任せざるを得ないような司令官を2年足らずの間に2度も選んだ米海軍に、何が起きていたのだろうか。
(RIMPEACE編集部 星野 潔)

SRF-JRMCの司令官らの解任後の6月28日に米軍画像サイトDVIDSに掲載された写真と記事。
5月に横須賀のSRFが原子力空母ジョージ・ワシントンのメンテナンス整備を終えたことを報告している。5月は司令官の解任前のことだ。
https://www.dvidshub.net/image/9779178/srf-jrmc-delivers-two-more-ships

同じく今年3月27日に米軍画像サイトDVIDSに掲載された写真と記事。
駆逐艦ハワードの整備工事をSRF-JRMCが予定よりも早く完了させた、と誇らしげに報告している。
司令官の「指揮能力」の問題など微塵も感じさせない書きぶりだ。もっとも、「広報宣伝」などそんなものなのだろうけれども。
https://www.dvidshub.net/image/9586624/srf-jrmc-delivers-three-warships-ahead-schedule
2026-8-18|HOME|