インドネシア艦、ロシア軍との共同訓練後横須賀寄港。出港後は中国軍と共同訓練

8月1日から8日にかけて、海上自衛隊横須賀基地に寄港したインドネシア海軍のフリゲート艦「KRIイ・グスティ・ングラ・ライ」(26.8.3 星野 撮影)

「イ・グスティ・ングラ・ライ」が接岸したのは、逸見岸壁だ(26.8.3 星野 撮影)

「イ・グスティ・ングラ・ライ」の後部飛行甲板にテントが張られている。この8月3日には海自の横須賀地方総監が同艦を訪問した(26.8.3 星野 撮影)
8月1日から8日にかけて、海上自衛隊横須賀基地にインドネシア海軍のフリゲート艦「KRIイ・グスティ・ングラ・ライ」(KRI I GUSTI NGURAH RAI 332)が寄港し、逸見岸壁に接岸した。
同艦は8月8日に横須賀を出港し、同日、相模湾で海上自衛隊の護衛艦「おおなみ」やSH-60Kヘリコプターと共同訓練を実施した。
今回のインドネシア海軍フリゲート艦との共同訓練の意義について海上自衛隊の自衛艦隊HPは、以下のように説明している。
「インドネシアは、ASEANでリーダーシップを発揮する域内の大国であり、我が国と基本的価値を原則共有する包括的・戦略的パートナーです。本訓練を通じて、海上自衛隊の戦術技量の向上及びインドネシア海軍との連携の強化を図りました」。「自衛艦隊は、即応態勢を維持し、我が国の防衛のみならず、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、同盟国・同志国海軍と協働して、インド太平洋地域の平和と安定に寄与しています」。
ここで海上自衛隊はインドネシア海軍を「同志国海軍」と呼んでいるようだが、そもそも「同志国」とは一体どういう意味なのだろうか。
茂木外相によれば「同志国」とは、「一般的に、外交課題において目的を共有する国を指す形で用いられている」(2026年4月2日参議院外交防衛委員会)とのことだが、曖昧な言葉だ。
「外交課題における目的を共有する」ことが「同志国」の条件であると言うのであれば、それは誰がどのような基準で測定して決めるのだろうか。その基準と測定の妥当性はどのようにして判定されるのだろうか。
気候崩壊や核兵器による人類滅亡の危機、イスラエルによるジェノサイド、米国による違法な戦争や国際秩序の破壊、「法の支配」の破壊などはいずれも極めて重要な「外交課題」だと考えられるが、それらは日本政府や自衛隊の「同志国」の判定基準になっているのだろうか。
ところで、海上自衛隊にとっての「同志国海軍」、インドネシア海軍のフリゲート艦イ・グスティ・ングラ・ライは、今回横須賀に入港する直前、7月23日にロシアのウラジオストクに入港し、25日から日本海でロシア海軍との合同演習「ORRUDA 2026」を実施している。
在インドネシア・ロシア大使館のフェイスブックによると、7月25日に行われた同演習の開会式にはロシア海軍太平洋艦隊司令官のヴィクトル・リーナ大将と、インドネシア海軍参謀総長のムハンマド・アリ大将が参加したのだという。
インドネシア軍とロシア軍のORRUDA演習は今回で2回目とのことだが、1回目は2年前にインドネシアで行われたようだ。
また、イ・グスティ・ングラ・ライは8月8日に横須賀を出港し、同日、相模湾で海上自衛隊との共同訓練を行ったのだが、実はその直後の8月12日に、今度は中国海軍のミサイルフリゲート艦「紅河」と、台湾の東側海域で共同訓練を行っている。
このインドネシア海軍と中国海軍の共同演習の実施を報じた米海軍協会ニュース(USNI News)の記事は、インドネシア国防省が中国から「最大7隻の053H型フリゲート艦と3隻の039A型攻撃艇を調達する可能性を明らかにしている」ことも指摘している(USNI News,8月13日付け記事「Chinese, Indonesian Warships Drill East of Taiwan」)。
さらに、イ・グスティ・ングラ・ライが中国海軍と共同訓練を行ったのと同じ8月12日に、インドネシア海軍の海兵隊第4旅団第7歩兵大隊は、スマトラ島南端のランプン近郊にあるインドネシア海兵隊第7大隊の基地で、米海兵隊のダーウィン・ローテーション部隊(MRF-D)第5海兵連隊第1大隊と共同訓練(戦術的戦闘負傷者ケア(TCCC)訓練)を行っていた(米軍画像サイトDVIDS記事「MRF-D Marines, Sailors perform casualty care training with Indonesian marines」参照。なお、同記事の文中では訓練の日付を8月13日と書いているが、添付の写真の撮影日は8月12日となっている)。
こうしてみるとインドネシア軍は、いずれかの「超大国」の「陣営」に固定的に属しているとは見られないように行動することを基本方針としているように見える(インドネシア軍そのものや、台湾東海上での中国軍との訓練などそれぞれの「共同訓練」の問題、共同軍事演習を重ねるやり方の問題などについての検討はここでは別として)。
少なくともその点は、米軍に実質的に従属する道を突き進む自衛隊とは異なっているように見える。
(RIMPEACE編集部 星野 潔)

在インドネシア・ロシア大使館の公式フェイスブックに掲載された、インドネシア軍とロシア軍のORRUDA演習の開会式の報告記事と写真の引用。
兵士たちの後方に停泊しているのが、インドネシア海軍フリゲート艦イ・グスティ・ングラ・ライのようだ

海上自衛隊・自衛艦隊HPに掲載された、8月8日のイ・グスティ・ングラ・ライと海自護衛艦「おおなみ」の共同訓練の写真。
https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/2026/08/0811-2.html#sf001-2

中国海軍の公式X(旧ツイッター)に掲載された、8月12日のイ・グスティ・ングラ・ライと中国海軍フリゲート艦「紅河」の共同訓練の報告記事と動画より引用。

米軍画像サイトDVIDSに掲載された、8月12日のインドネシア海軍海兵隊と米軍海兵隊の共同訓練の写真
米軍画像サイトDVIDS記事「MRF-D Marines, Sailors perform casualty care training with Indonesian marines [Image 14 of 18]」より引用。
https://www.dvidshub.net/image/9868763/mrf-d-marines-sailors-perform-casualty-care-training-with-indonesian-marines
2026-8-22|HOME|