横須賀での原子力空母の大規模修理を振り返る−3

管理職の原子炉技術者募集、勤務先横須賀基地、フルタイム・永続雇用、経験者優遇。
太平洋艦隊司令官とピュージェットサウンド海軍造船所・中間修理施設(PSNS&IMF)が出した募集公告 (NW8-YF0840-02-QO200332-OS-I)は、募集期間が08年12月17日から09年1月20日となっていた。
そこには、PSNS&IMFから横須賀にやってくる技術者集団の管理やプロジェクト管理という仕事の内容が記述されている。

仕事の説明のところには、以下の記述がある。
「このポストはPSNS&IMFの支所に置かれている。職名はPSNS&IMF支所・プロジェクトエンジニア管理者だ。
このポストは、支所のすべての技術スタッフの仕事の管理・監督とプロジェクト管理を行う、原子力技術者のポストと一般技術者の ポストを統合したものだ。
現職者は横須賀基地に前方展開している原子力空母を支援するためにPSNS&IMF支所が行う原子炉と推進プラントの整備の技術支援、 管理、プロジェクト管理を行なう。
現職者は、横須賀基地の艦船に対して行われる原子炉と推進プラントのオーバーホール、交換、修理、維持、試験に関して技術支援、 管理、プロジェクト管理の仕事を行う責任を持つ。」

最後のパラグラフは、横須賀で原子炉の修理を行う、と言っているに等しい。
合衆国原子力艦の安全性に関するファクトシートでは「1964年のエード・メモワールで表明された燃料交換及び修理に関する合衆国の コミットメントは、引き続き完全に堅持される。 燃料交換及び原子炉の修理は、外国では行われない。」と明記されている。
外交文書では行わないと言っておきながら、実務者への業務説明では原子炉の修理を行うと言っている。これを日本語では「2枚舌を 使う」と言うんじゃなかったかな?(英語でなんと言うかは知らないが...)

念のために、英文を掲載しておこう。
"The incumbent is responsible for providing technical, supervisory, and project management work in connection with overhaul, alteration, repair, maintenance, and testing of nuclear reactor plant and propulsion plant systems and components to operational fleet units at CFAY."(募集公告 NW8-YF0840-02-QO200332-OS-I)
"The U.S. commitment expressed in the 1964 aide-memoire regarding fuel change and repair remains absolutely in place. Fuel change and reactor repairs are not performed in foreign countries."(Fact Sheet on U.S. Nuclear Powered Warship Safety)

あれだけ放射性廃棄物が出たのも、ファクトシートの説明に反して原子炉の修理が行われたならば説明がつく。朝日・神奈川版に出ていた 米軍の空母艦内で作業を行ったという言をそのまま受け取れば、今回の原子炉修理は、艦内で行えるものだけを行ったと解される。
過去にPSNS&IMFで行ったGWの修理の記録や、原子炉関連修理に必要な計測器などは、原子力空母修理のために改造され、12号 バース近くに固定されている作業バージに保管されていると思われる。(続く)

(RIMPEACE編集部)


2009-7-20|HOME|