米海軍のコロナ対策を横須賀から見る(2)

出航前の行動の手引き

新たに任務航海に出る空母に乗る兵士をウィルス感染させないために、米海軍が考えた策が乗艦前2週間の乗組員の隔離(行動規制 ROM:Restriction of Movement)だった。症状が出た兵士以外の兵士を2週間隔離すれば、その集団に隠れた感染者がいない確率は95%、3週間隔離すれば99%になる、というのが米軍の計算結果なのだ。

米海軍の「コロナウィルスについての任務航海前のガイダンス」は、"Clean Crew,Ready for Mission"をスローガンとして、任務航海前に最低限必要なアクションとして以下の項目を掲げている。

a.コロナウィルスで致命的な影響を受けると考えられる病状の兵士を洗い出して下船させる。

b.毎日、問診と検温を兵士に行う。

c.インフルエンザのような症状の兵士を医療施設に隔離する。

d.95%クリーンとなる14日間の行動制限、できれば99%クリーンとなる21日間の行動制限。

 *行動制限(ROM)のやり方としては、入港中の艦内にとどまる、ホテルの個室、自宅での隔離(だれともコンタクトしない)などが考えられる。部隊の置かれている状況で長短あり。

 *重大な見張り処への配置、必要なメンテナンス、任務航海の準備(訓練、補給)は確実に。

 *原子炉、ブリッジ、戦闘指揮所など重大な任務に就く兵士に代行者を設ける。

e.決定的に重要な任務に就く部隊には、行動制限期間の前後に検査が要求されることがある。
 SEAL,空母戦闘群、揚陸作戦群などが該当する。

f.他艦の乗組員、契約業者・民間技術者などの乗艦者、直接の補助作業者、その他任務航海中に乗艦    するすべての者は、乗艦前14日間の行動規制が必要。

以下、ROM中に症状が出た兵士への対処などが書かれているが、省略。

このガイダンスに従い、ロナルド・レーガンの乗組員や随伴艦の乗組員が14日間のROM(行動規制)で横須賀基地や厚木・横田基地で隔離された生活をしているとみられる。レーガンの乗組員は、航空要員以外で約3200人、パイロットや整備兵などの航空要員が約1865人(Norman Polmar, The Naval Institute Guide to the Ships and Aircraft of the U.S. Fleet)となっている。横田・厚木で約1000人として、残りの2000人強は横須賀基地内や基地の外のホテルや住宅に分散して、息をひそめているのだろうか。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


ディプロイメント前になすべきことのガイダンス。4月15日に出された


2020-4-20|HOME|