米海軍のコロナ対策を横須賀から見る(6)

空母艦上に水兵の姿がもどる。出航はまだ先か?


横須賀基地12号バースの原子力空母ロナルド・レーガン。飛行甲板上に、数十人の兵士の姿があった


(左)空母の艦首部分に集まった水兵。旗竿起こしか? (右)艦橋の真下から艦尾方向に歩みだす水兵たち(4.29 頼 撮影)

4月29日昼の空母ロナルド・レーガン飛行甲板。最近までひっそりしていた艦橋下に、赤や緑、黄色のジャンパーを着た兵士たちが出てきた。それ以前に、黒っぽい制服を着た(多分)士官たち が甲板上を歩いていた。

水兵が着るジャンパーは、爆弾・ミサイル装填、艦載機の誘導、救護などの任務別に色が変わっている。さまざまな任務の兵士たちが再び乗艦してきた。乗組員の間で新型コロナ・ウィルス (COVID−19)感染が広まると空母が運用できなくなるので、米海軍は出航前に乗員をある期間隔離・移動制限(ROM)するやり方で、コロナ・フリーの乗組員と艦船を確保しようとして いる。
無症状で感染していてもこの期間のうちに症状が出て感染がはっきりわかるし、隔離されているのであらたな感染は発生しないから、期間開けにウィルス検査で陰性となった兵士たちはウィルス・ フリーとみなされる。

艦内でCOVID−19感染が拡大して、グアムに停泊中の原子力空母セオドア・ルーズベルト乗組員の検査結果についての 星条旗新聞の記事 "USS Roosevelt has nearly 1,000 virus cases after Navy reassesses how it determines who’s still sick" (April 28, 2020 CAITLIN M. KENNEY 記者)の中に、横須賀の原子力空母ロナルド・レーガンのことも書かれていた。

「人数は明らかにされていないが、レーガン空母戦闘群の兵士たちが、ディプロイメント前の移動制限期間が終わった後、先週末のコロナウィルス検査で陽性となった。陽性の兵士たちは症状は 出ていないが、隔離された。
検査で陰性となった兵士たちは、自分たちの船への乗艦が許可された。」

29日に空母艦上に現れた兵士たちは、検査が陰性でレーガンへの乗艦が許された兵士とみられる。

では、レーガンの出航は近いのだろうか?
第7艦隊ニュース" Theodore Roosevelt Prepares to Return to Sea" (USS Theodore Roosevelt (CVN 71) Public Affairs , April 29, 2020)によれば、隔離とウィルス検査で陰性と判定された ルーズベルトの水兵たちは、空母に戻り出航の準備をする。一方、これまで艦内にとどまって枢要な維持任務についてきた700人の兵士が隔離期間に入る。

同じことが、ロナルド・レーガンについても行われるだろう。今までレーガンの艦内で「原子炉の見張り」や戦闘システムの維持管理などに携わってきた(おそらく)700人くらいの兵士が、 「第1陣」の兵士と交代で厚木や横田に送られているのではないだろうか?
この「第2陣」の兵士たちのROM開けと検査終了でもって、大部分の兵士たちがレーガン空母戦闘群の艦船に乗り組むことになる。レーガンの出航は1月くらい先になるのではないか?

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


2020-4-30|HOME|