米海軍のコロナ対策を横須賀から見る(7)

空母レーガン艦上に、早くもヘリ5機出現


空母ロナルド・レーガンの飛行甲板上に現れた5機のMH60ヘリ


奥に空母ロナルド・レーガン。その手前に巡洋艦シャイロー、駆逐艦ミリウス、カーティス・ウィルバーが並ぶ5月3日の横須賀基地
(2020.5.3 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)

5月3日午前、横須賀基地12号バースに横たわる空母ロナルド・レーガンの飛行甲板に5機の艦載ヘリMH60が並んでいるのが確認された。主ローターはまとめられて固定され、機体の尾部 が折り曲げられ、空母のエレベーターに乗るように小さくなっている。

岩国に艦載機が移転した後に、空母レーガンが初めて春季パトロールに出航した2018年5月29日、空母は艦載ヘリMH60を5機積んでいた。
厚木に艦載機がいたときは、空母出航の当日に厚木から大島沖の訓練空域に艦載機が飛び、先に到着していた空母に着艦した。救難任務で空母の周りで空中待機する艦載ヘリも、厚木から飛んで 固定翼機の着艦開始に十分間に合った。

固定翼艦載機が岩国から四国沖の訓練空域まで飛んで着艦するのに、同日に厚木からヘリが飛んだのでは間に合わない。それで空母に事前に乗っておいて着艦が始まるときにヘリが空母から飛び 立つ手順にしたのだろう。

その後3回の空母の本格出航時(18年秋、19年春と秋)には、ヘリが横須賀で空母に乗るのは確認できなかった。少なくとも出航当日に空母の飛行甲板には乗っていなかった。
出航前に厚木から岩国に陸伝いにヘリが飛んで行った可能性も考えられる。

今回、久しぶりに出航前の空母の艦上に艦載ヘリ5機が固まっているのを見た。その点では2年前の5月下旬と同じだが、問題は出航時期と大きく離れていることだ。
2年前は空母の試験航海が終わった後にヘリが載ってきた。FCLP(地上滑走路での着艦訓練)もむろん終わった後だ。今回はFCLPの実施通告も地元自治体に届いていない。早すぎるヘリ の展開だ。

原因は出航前の兵士の隔離だろう。COVID−19の空母艦内でのまん延を防ぐために、乗組員全員の乗艦前2週間以上の行動制限(隔離)が行われている。ヘリの機体自体は2週間も隔離し ておく必要がないが、パイロット、整備士をはじめとする飛行隊の兵士たちが、隔離明けにヘリに乗って岩国まで飛行したり空母に着艦するのは、隔離状態の継続とはみなされない、ということ なのだろう。

今回の早すぎるヘリの空母への積み込みには、パイロットなども同行している可能性が強い。そして、本格出航までの間に横須賀港内にいる空母からの発艦や着艦などの訓練も行われるかもしれ ない。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)



2年前の5月下旬、空母が本格出航する直前、5機の艦載ヘリが飛行甲板に並んでいた(2018.5.25 頼 撮影)


出航する空母の艦橋付近に、艦載ヘリ5機が集まっていた(18.5.29 頼 撮影)


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