米海軍のコロナ対策を横須賀から見る(8)

空母レーガン、試験航海に出る


5日正午前にマスティン、シャイローなどが停泊中の横須賀基地を出航したロナルド・レーガン(2020.5.5 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)


横須賀本港を出るロナルド・レーガン。奥は4日から錨泊中の揚陸艦アシュランド(5.5 木元 茂夫 撮影)

5月5日正午前、原子力空母ロナルド・レーガンは横須賀基地12号バースを離れて出航した。1月から行っていた定期修理の確認・点検のための試験航海だ。

今年の試験航海出航日は、昨年の5月12日(〜17日)、一昨年の5月11日(〜17日)と比べてほぼ1週間早い。だが今年は、定期修理の過程で例年出てくる放射性廃棄物を空母の外に出し て本国に運ぶ作業を、未だ行っていない。

空母は艦載機を攻撃目標の近くまで運び、大量のミサイル、爆弾などを「目標」に撃ち込むための巨大な攻撃システムの根幹だ。艦載機を空母に展開させてナンボの戦闘艦だ。
艦載機を空母に展開させるのには、踏まなければならない手順がある。

艦載機の側から見た手順の中核は、洋上の空母への繰り返しの着艦を安定的に行えるようにする着艦技術の錬磨だ。
一か月以上空母から離れた艦載機パイロットは、空母に展開するまでに大きく2つの訓練を行う。陸上基地の滑走路を空母の飛行甲板とみなして行う離着陸訓練(FCLP:Field Carrier Landing Practice)で合格点をとったパイロットは、次に洋上を航行する空母の甲板に実際に着艦する訓練(CQ:Carrier Qualification)で着艦資格を獲得して、初めて空母に乗ることができる。

空母艦載機がパイロットともども空母に展開するために、これまで(昨年まで)は、空母の試験航海出航の数日前からFCLPを実施し、空母が本格航海に出航する数日前にFCLPを打ち上げ、 本格出航直後に航行する空母でCQを行い、空母と艦載機の双方の「仕上がり」を合わせていた。

ところが今年は、試験航海が先行し、FCLPの予定も関連自治体に通告されていない。空母の乗組員と岩国にいる艦載機部隊の兵士が、COVID−19対策で2回にわたって最低2週間隔離 されることで、一か月以上の遅れが予測される中で、空母側のスケジュールだけ早めている。
今後も、第7艦隊はこれまでの手順を組み替えて、なんとかレーガン空母戦闘群の即応態勢を、最小の遅れでもって構築しようとするのではないだろうか。

今回の急な試験航海出航の次に続くのはなんだろうか?

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


横須賀本港を出て浦賀水道に向かう空母レーガン(5.5 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)


金田湾沖に投錨して、装備の作動確認などを行うロナルド・レーガン(5.5 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)


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