再考、横須賀12号バースと新設クレーン


クレーンが置かれた12号バース。バースの先端に近いところにあるのが47番クレーン(06.3.3 撮影)

原子力空母のバースにするという米軍の意図がはっきりした横須賀基地の12号バースに、大型クレーン2基がバージで運ばれてきて陸揚げされた。2月28日のことだ。その翌日、バース上の47番クレーンを見ていて、GAO報告に載っていた原子力空母とバースの拡張の記述を思い出した。

「太平洋軍、太平洋艦隊、海軍司令部の施設・兵站の専門家たちは、横須賀を原子力空母の母港とするには原子炉の維持補修の施設以外にも、施設の改善が必要だとしている。たとえば、より大きく頑丈なバースが必要だ。(通常動力空母よりも)大きくて重い原子力空母を停泊させ、バースでの補修を行うのに必要なクレーンを設置するために。電源装置のアップグレードと拡張も、原子力空母の停泊中に原子炉の冷却水を循環させるために必要だ。余裕を持つために新たな変電施設が必要となるかもしれないし、電力会社から買っている電力もやはり、より大きいものに換えなければならないだろう。純水の定常的な供給も必要だ」(98年8月 GAO報告 通常型空母と原子力空母の費用対効果 p.102)

47番クレーンは、12号バースを拡張し補強した部分に設置されている。12号バースの拡張工事にともなうクレーン交換も、米海軍の要求通りに(より大きく重い)原子力空母のメンテを前提に、設置場所まで考えて設計・発注されていたのだ。

GAO報告は上記の記述のあと、原子力空母の母港化には通常型空母の基準である水深45フィートより更に+5フィート水深が必要で、そのために横須賀港を浚渫する必要がある、と続く。また、原子力空母の修理施設を新たに作るには、横須賀基地は手狭で困難だという国防総省の担当者の見解を紹介している。
この点については国防総省から、専門家を派遣したり、大掛かりな改修の際には原子力空母を本国に戻し代わりの空母を派遣することで、困難さは緩和されるという反論があった。ただペンタゴンも、日本を原子力空母の母港にすれば、支援のためのインフラに変更が必要だと認めた、と書かれている。

横須賀基地の艦船修理部門(SRF)の工場建て替えが現に進んでいる。原子炉関連施設がそこに出来るということでもないだろうが、回りまわって原子力空母の支援施設のスペースをひねり出すために、この建て替えが利用されることは十分に考えられる。

(RIMPEACE編集部)


工場が完全に取り壊された基地内の解体現場(2月28日 撮影)


'2006-3-5|HOME|