シリーズ・原子力艦船の上空飛行制限(2)

国交省が上空飛行の回避を指導する原子力施設


国土交通省航空局発行のAIP-JAPAN ENR5.4-5 原子力施設 の始めの部分

「航空機による原子力施設に対する災害を防止するため、下記の施設付近の上空の飛行は、できるだけ避けること。」という指導的な文言のあとに、原子力施設がズラッと並んでいる。国土交通省航空局発行の航空路誌「AIP-JAPAN ENR5.4-5 原子力施設」には、国内の動力炉、再処理施設、研究炉、ウラン加工施設などの原子力施設が網羅されている。

原子力空母ジョージ・ワシントンが積む2個の原子炉とほぼ同等の蒸気出力と見られる、関西電力美浜発電所の1号炉や2号炉ももちろん記載されているが、出力がそれより4桁小さい研究炉も記載されている。今は解体中の立教大研究用原子炉(横須賀市長坂)もその一つだ。

国土交通省航空局がこの航空路誌を発行する意味は、最初にあげた通り「航空機による原子力施設に対する災害を防止するため」だ。その原子力施設に翻っているのが星条旗だろうが日の丸だろうが、そんなことは関係ない。日本に住む全ての人たちを放射能汚染から守るために、国土交通省の規制が及ぶ日本の民間機や自衛隊機に対して原子力施設の上空を飛行するな、という規制なのだ。

小さな研究炉を規制対象にしておいて、なぜもっと大きい原子炉を内蔵する原潜を規制対象としないのか。 艦船は固定された施設ではないから、という理屈が(百歩譲って)通るとしても、その艦船が停泊する港湾施設を規制対象に指定すればいいだけのことだ。
これまで原潜が停泊してきた横須賀基地10号、11号バース、また最近バッファローが寄港した12号バース、佐世保基地の赤埼岸壁、ホワイトビーチの海軍岸壁を原子力施設に加えることで、米軍の原子力艦船が停泊中、原子炉の上空を航空機が飛行するなんていう恐ろしいことは規制される。

原子力空母の母港になるということは、美浜原発1号炉と同等規模の原子炉が横須賀基地の12号バースに年間200日以上出現する、ということだ。
今、米軍の原潜に対して上空飛行規制を何も行っていない、ということは、原子力空母が現れても、日本政府は何も規制をする意志がない、ということだ。
横須賀市長さん、それでも原子力空母は安全だ、という日本政府の説明を信じるのですか?

(RIMPEACE編集部)


小さな研究用原子炉まですべて上空飛行規制の対象となっている


'2006-6-27|HOME|