シリーズ・原子力艦船の上空飛行制限(3)

横須賀基地の上空を通る航空路


航空路W14と横須賀基地。米軍機、自衛隊機が利用する。(AIP-JAPAN 横田進入管制空域を使用して作成)

羽田発の大型ジェット機が横須賀基地の真上を飛ぶだけではない。横須賀基地上空には南北方向に延びる航空路が通っている。W14という名前だ。

NDBという電波標識を結んだ航空路で、大島NDB、横須賀NDB、荏田NDB、大宮NDBを結んだ直線の左右にそれぞれ5海里(約9キロ)の巾を持っている。上図で示したように、横須賀基地の上を覆っている。
この航空路は米軍が管理する横田管制圏の東の端にある。横田を発着する大型の輸送機や、入間を発着する自衛隊輸送機などが使用する。
横須賀基地上空は、民間機や軍用機が飛び交う空域なのだ。

さらに、基地の中にはヘリポートがあり、また空自や陸自のヘリも上空を通過する。
厚木基地と大島沖の訓練空域を結ぶチャーリールートと呼ばれるコリドーも近くを通っているはずだが、このコリドーの位置は公表されていない。
仮に原発を横須賀基地に造る計画があったら、航空機落下の危険性の観点からも、間違いなく立地条件を満たさないと判断されるだろう。

原子力空母の母港化とは、そういった審査無しに、美浜1号炉クラスの「動く原子炉」が横須賀基地に出現するということだ。
民間機よりも事故を起こす確率が高い軍用機が上空を通過し、すぐ近くで米軍や自衛隊のヘリが離着陸を行う。原子力空母の上空飛行を規制する気がなければ、航空機の落下にともなう原子炉破壊などの事故が起きる確率は大きくなる。
もともと無理筋の原子力空母導入のつけは、事故が起きたときには関東一円に振りまかれるというのに...。

(RIMPEACE編集部)


轟音とともに飛び去っていく軍用機。厚木のスーパーホーネットだ。(06.5.31 ヴェルニー公園で撮影)


'2006-6-28|HOME|