VS 外務省
「核非搭載の具体的説明ができていない」と横須賀市長

以下の報告書は、核持込の密約に関して、横須賀市長に対して外務省北米局地位協定室長が述べた政府見解及びその後の やり取りだ。
吉田市長の当然の指摘に対して、地位協定室長は「外務大臣に伝える」としか答えられなかった。

この報告書は、横須賀市企画調整部長が、横須賀市議会議員にあてたもので、2010年3月10日付け。

(RIMPEACE編集部)


いわゆる「密約」問題に関する調査報告についての、外務省の説明について

1.日 時 平成22年3月10日(水) 午前8:30〜9:00

2.来 訪 者 外務省 鯰 博 行 外務省北米局地位協定室長

3.対 応 者 横須賀市 吉 田 雄 人 市長

4.同 席 者 横須賀市 沼 田 芳 明 副市長 廣 川 聡 美 副市長

5.来訪の目的 いわゆる「密約」問題に関する調査報告の説明

6.説明の概要

地位協定室長から、外務省調査報告書と、有識者委員会報告書について説明の後、政府の見解について、次の説明があった。

政府の見解

・過去については、「事前協議が無かったから、核を搭載した艦船の寄港は無かった」という説明を、「無かったとは、言いきれない」 に変更する。

・これほど長期の間、しかも冷戦後も明らかにされてこなかったことは、遺憾である。

・関係機関、寄港地の自治体に対しては、誠に申し訳ない。

・外交に対する国民の信頼回復を期待する。

・このことは、日米安保の運用には、影響を与えない。

・また非核三原則についても、考えを変えるつもりはない。

・現時点において、91年の米国の核政策に基づけば、我が国政府として、岡田外務大臣として、核搭載艦の我が国への寄港はないと、 判断している。

・米国の核政策に関する方向性は、核の役割を低減させ、核への依存を減らすというものであり、外務大臣としては、再搭載が起きるとは 考えていない。

市 長 説明を聞いて、はい分かりましたとは言えない。

外務大臣は、外交に対する国民の理解というが、核を搭載していないこということが、具体的に説明ができていない状況で、横須賀市と して、分かりましたとは言えない。

国も政権交代があったが、市もあった。

しかしながら、長野市長以来ずっとこの問題の負担を抱えてきている歴史的重みを外務大臣は、どこまで理解しているのか。

地位協定室長 外務大臣が、理解していないとは思わないが、市長の「はいわかりましたとは言えない」ということを、報告させて いただく。

市 長 歴代市長は、国に説明を求め、市民に説明する側になってきた。

そういう横須賀市にとって、20年も前の米国の発表を担保に、積んでいないという説明では、根拠に乏しいと言うしかない。

事前協議することについては、今も有効か。

認識の不一致もそのままか。

地位協定室長 有効だ。今も認識の不一致のままだ。

市 長 有識者委員会の報告では、認識の不一致があったが、嘘を重ね、修正する努力を怠っていたと指摘されているが、外務大臣から、 それを是正する言葉が無かった。

地位協定室長 今回の調査を受け、米国との取り決めを変えることはない。

市 長 私は市民の側になって判断する立場である。認識の不一致のままで良いというのが、外務大臣の判断か。

地位協定室長 そのとおり。

市 長 それでは、今までと一緒で、暗黙の合意のままだ。ブッシュ大統領の演説は、生きているのか。

地位協定室長 過去のものではない。

米国の現在の核戦略は、核の依存を低減していく方向である。

市 長 有事についてどう考えるのか。

地位協定室長 国会でも今後議論されると思う。

しかしながら、今は、米国との取り決めを基本的には変えない。

市 長 認識の不一致があるが、事前協議は生きているでは、納得できない。

地位協定室長 密約の調査開始から、「事前協議が無いから、積んでいない」という説明は止めた。

認識の不一致があるのに、その説明はもはやできない。

91年、94年の米国の政策に基づき、核は搭載していないと説明している。

市 長 非核三原則は、どうやって守っていくのか。

地位協定室長 本格的な持ち込みについては、事前協議が生きている。

寄港等については、現在は、米国の核政策の中で、無いと判断している。

市 長 市民には、事前協議が無いから大丈夫と説明してきた。しかし今は、事前協議が機能していない。

私は、市民のことを考えて行動する。 外務大臣にしっかり伝えていただきたい。 文書でも、要請させていただく。

地位協定室長 外務大臣に、必ずお伝えする。


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