テロ事件の影響[2001.12.17]インタビュー

閑散とした滑走路

検問中のおまわりさん

◎ 9.11テロ事件から後の、横田基地での一番大きな変化は?
 米ソ冷戦時代には前線基地だと思っていたし、ベトナム戦争や湾岸戦争の時にはただの後方輸送基地だと聞かされていた。
 ところが、何とそんな後方基地が「無差別テロ」の標的になるとは、思ってもみなかったね。それが、一番大きな影響だと思う。16号線沿いの商店街の人も、ことによったら福生警察の人も、驚いたんじゃないの。
◎ その一番大きな変化による、私たちの市民生活への影響は?
 国道16号線沿いに米軍は監視台をつくり、その上では米兵が銃を持って24時間監視している。誰かが「アッラー・アクバル」と叫びながら、トラックに爆弾を積んで旗でも立てて基地に突入するとでも思っているのだろうか。その時米兵の銃が火を噴いて、通りがかりの日本人にでも当ったらどうするつもりなんだろう。
 それに街中におまわりさんが増えたことじゃないかな。米軍を守るために、深夜たった一人で「わらつけ街道」を、淋しそうに寒そうにパトロールしているおまわりさんの姿を見ると、テロリストならぬ酔っ払いにでも襲われたらどうすんだろうと、気の毒に思うよ。
 街中で検問が、やたらと厳しくなったおかげで酔っ払い運転が激減したらしいし、一旦停止で捕まるやつが倍増したり、まったく生きにくくなってきている。ここは警察都市だね。基地さえなければ、多摩川沿いの静かないい街なのに。

ネットをかけた監視塔

基地の中の派手なクリスマスライティング

◎ テロの前後で、横田基地で変化が無いものは?
 とは言っても、滑走路の大工事中だし、その費用は49億円も掛かっている。それは日本のわれわれの税金なんだぜ。第2ゲートの奥にできたスーパーマーケット(コミュニティーセンターって言うんだってさ)の費用は88億円だし、広さが2,400F、福生の西友の3倍も床面積があるんだ。しかも利用できるのは、1万人にも満たない米軍人と軍属だけなんだから。あの派手なクリスマスツリーの電気代だって、日本が払っているんだから。
◎ それはなぜ?
 在日米軍は日本を守ってくれるという約束だから、日本政府は「思いやり予算」を出し続けているのに、今回は日本の警察や自衛隊が米軍基地を守るために巨大な税金を使っている。おまけに、インド洋などでの自衛隊の後方支援の予算は170億円も計上されたそうだ。本末転倒だよね。
 アメリカのロバート・コーエン前国防長官が書いた『アメリカ合衆国の東アジア戦略』読んでいたら、日本は「世界一気前のいい国」だと書いてあった。なめられたもんだぜ。みんなが、食うや食わずで払っている税金なのに。
◎ テロ事件を受けて、今後の横田基地は?
 来年6月に49億円の滑走路大修理は完成する。そしたらまた、アジア中にアメリカの軍事物資を運ぶ大型輸送機が、ビシバシ来ることになる。もう、アフガンでの戦争は終わっているかも知れないけれど、次の「ならずもの国家」をやっつけるために、フセイン退治の騎兵隊の軍用機が次々に来るかもしれない。湾岸戦争の時のように、イラクへイラクへと兵士を運ぶことになるかもしれない。そしてますます、テロに脅え、自衛隊に守ってもらっている状態になるのではないだろうか。

新築した88坪のコミュニティセンターとゲート(工事中)

完成したゲート(日本人おまわりさん付)